ハノーバーメッセ2026で防衛生産エリア新設

(ドイツ、欧州)

デジタルマーケティング部ECビジネス課

2026年06月04日

世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(Hannover Messe 2026)」が4月20~24日開催された。今回「防衛生産エリア(Defense Production Area)」が新設された。

ハノーバーメッセは1947年に創設され、毎年開催されている世界最大級の産業見本市だ。製造業、エネルギー、デジタル技術を網羅する。約60カ国から3,000社以上が出展し、来場者は11万人に達した。例年開会式にはドイツの首相やパートナーカントリー(特別招待国)の首脳らが出席し、2026年はドイツのフリードリヒ・メルツ首相とブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領が出席した。

日本企業は同見本市を「欧州市場への接続拠点」「欧州における技術プレゼンスの確立や国際連携の場」として捉えている。長年、ファナック(FANUC)、安川電機、三菱電機、日立製作所といったファクトリー・オートメーション(FA)の技術サービスを得意とする大企業が存在感を見せ、標準化対応や共同開発、サプライチェーン構築を進める場としても機能している。

同見本市は本来、産業技術の展示会である。その中に防衛が組み込まれたことは、防衛を「製造業の延長」と位置付ける動きとも捉えられる。実際、防衛生産エリアにおける展示内容は、ロボット、加工技術、測定、ITインフラなどで構成されていた。例えば日本のファナック、米国のデル・テクノロジーズ(Dell Technologies)、ドイツのフラウンホーファー研究機構(Fraunhofer)といった企業・機関は、民生主体の技術を提供している。また、歯車、バネ、油圧などの中小製造業も多数出展していた。展示されたこれら品目は「防衛製品そのもの」ではなく「防衛基盤を構築する品目」である。こうした展示構成から、欧州では、防衛分野と民生・輸出向け産業が、共通の産業技術やサプライチェーンを通じて捉えられていることが分かる。

写真 防衛生産エリア概観(ジェトロ撮影)

防衛生産エリア概観(ジェトロ撮影)

写真 防衛生産エリア出展者一覧(ジェトロ撮影)

防衛生産エリア出展者一覧(ジェトロ撮影)

写真 防衛生産エリアのファナックのブース(ジェトロ撮影)

防衛生産エリアのファナックのブース(ジェトロ撮影)

また、欧州では近年、防衛が輸出、雇用、技術と関連付けて捉えられる場面が増えている。とりわけウクライナ情勢を受けて防衛需要が拡大する中、自動車産業など他産業からの構造的な事業転換の受け皿としての役割もみられる(2025年10月27日記事参照)。防衛分野に新たに参入する企業は、自社技術の利用・応用先の1つとして同分野への関与を模索していると言えよう。EU加盟国による調達も、EU防衛産業戦略(EDIS)において、2035年までのEU域内における防衛産業の域外への依存低減が中長期的な戦略として位置付けられている。

(志賀大祐)

(ドイツ、欧州)

ビジネス短信 c2739b8797976ec9