ラオス発AI企業Laligenceに聞く、ローカル対応で社会実装を加速
(ラオス)
ビエンチャン発
2026年06月02日
2026年4月23~24日にラオスの首都ビエンチャンで開催された「ナショナル・スタートアップ・フェスト2026」のビジネスコンテストで、Laligence(ラリジェンス)が優勝した(2026年5月12日記事参照)。同社は、ラオスで人工知能(AI)の社会実装を担う企業として注目されている。AI・機械学習分野を専門とし、大阪大学で博士号を取得したサワット・サイパディット博士が2025年に設立した。ラオスの言語や文化、ビジネス慣行に適合したAIソリューションを強みに事業を拡大している。ジェトロは同氏に話を聞いた(取材日:5月20日)。
サワット・サイパディット創業者兼CEO(Laligence提供)
サイパディット氏は、世界ではAI活用が急速に進展する一方、ラオスや東南アジアでは、言語・文化に適合したソリューションが不足していると指摘する。このため、多くの組織がAIを効果的に導入できず、恩恵を十分に受けられていないという。こうした課題を背景に、現場で実際に利益を生むAI提供を目指し、同社は設立された。
代表的製品はラオス文字に特化した「Laligence OCR
」だ。ラオス語は声調記号や独特の文字構造を持つため、従来の光学文字認識(OCR)では誤認識が多かったが、独自のAIモデルにより、機械印字文字で95%以上の認識精度を実現した。これにより、身分証情報の自動抽出など業務効率化が可能となり、政府関連システムにも活用されている。
また、ラオス語の自然言語処理を活用したAI言語ソリューションも提供している。音声合成や文字起こしを通じて企業と顧客のコミュニケーション改善に寄与している。さらに、複数チャンネルに対応するAIチャットボット「Catbot」を開発した。営業プロセスの自動化を担う営業スタッフとして設計され、24時間の顧客対応に加え、業務効率化に貢献している。
加えて、AI戦略の策定から実装、技術トレーニングまで、幅広いトレーニングやコンサルティングを提供している。現在は、手書き文字認識の精度向上に加え、低通信環境向け軽量OCR、金融機関向け電子本人確認(eKYC)の開発にも取り組む。今後は、ラオス独自のデータによるAIモデル構築を目指す。Laligenceは、ラオスにおけるAIの発展を左右する存在として、今後の動向が注目される。
(山田健一郎)
(ラオス)
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