米財務省、ハマスやイランを支援した個人・事業体などへの制裁を発表

(米国、イラン、中国)

ニューヨーク発

2026年05月20日

米国財務省は5月19日、イスラム組織ハマスを支援する個人・事業体外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよびイランの資金調達に関連する個人・事業体など外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを、金融制裁対象である「特別指定国民(SDN)」に指定した。国務省も同日、声明を発表した(ハマス支援に関する制裁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますイラン資金調達に関する制裁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

SDNに指定された個人・事業体は、在米資産の凍結や、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される。SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。なお、米国人には、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、または米国内に存在するあらゆる個人が含まれる。

財務省は今回、ハマスを支援する船団やネットワークに関連しているとして、1団体と8人の個人を制裁対象とした。また、既にSDN指定を受けているイランの銀行に代わって取引を管理したほか、イランの石油・石油化学製品の海外輸送に関与したとして、28団体、4人の個人、19隻の船舶を制裁対象とした。具体的な制裁対象は、財務省外国資産管理局(OFAC)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる(注1)。

財務省と国務省は、今回のイラン資金調達に関する制裁を、「エコノミック・フューリー」の一環に位置付けている。「エコノミック・フューリー」とは主に金融システムや海運分野を対象とした措置で、イランによる石油・石油化学製品の販売や、そこから得た資金の軍事作戦などへの分配を支援する個人・事業者などに制裁を科すことを目的としている。財務省のスコット・ベッセント長官は同日、パリで行われたテロ資金対策閣僚会議で演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、米国が「エコノミック・フューリー」を通じてイラン政府の兵器計画や核開発の野心のための資金源を断ち切ったと主張した。一方で、これらの取り組みを進める中で「米国が孤立している」印象を受ける場面があまりにも多いとし、会議参加国向けに連帯を呼びかけた。

一方、ドナルド・トランプ大統領は5月15日、14~15日に行われた習近平国家主席との米中首脳会談後、イラン産原油を購入した中国の複数の石油精製業者に対する制裁について協議したことを明らかにした(ロイター5月15日)。OFACはイラン産石油取引への関与を理由に中国企業5社など(注2)をSDNに指定している(2026年5月7日記事参照)。トランプ大統領は制裁解除の是非を「今後数日中に決定する」としており、「エコノミック・フューリー」をはじめとするイラン制裁を巡るトランプ政権のスタンスが注目される。

(注1)5月19日時点で、OFACのウェブサイト上部に貼られたプレスリリースへのリンクには、イラン資金調達に関する制裁のページへのリンクのみが掲載されているが、ハマス支援に関する制裁対象も本ウェブサイトに含まれている。

(注2)恒力石化(大連)煉化、山東寿光魯清石化、山東金誠石化集団、河北鑫海化工集団、山東勝星化工の5社。

(滝本慎一郎)

(米国、イラン、中国)

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