長期にわたる連立交渉を経て少数与党政権が成立、フレデリクセン首相は続投

(デンマーク)

デュッセルドルフ発

2026年06月04日

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が党首を務める社会民主党を中心に、社会主義人民党、社会自由党、穏健党の4党による中道左派連立で構成される新政権が6月3日発足した。フレデリクセン首相は3期目の続投となる。

前政権の連立に加わっていた中道右派の自由党が今政権では下野し、議席数は過半数に達しない少数与党政権となった。フレドリクセン首相のほか、穏健党のラース・ロッケ・ラスムセン党首は外相として留任。社会主義人民党のピア・オルセン・デュア党首が経済・内務相、社会自由党のマーティン・リデゴー党首がビジネス・競争力相に就任した。

3月24日の総選挙(2026年3月27日記事参照)後、今回の政権樹立まで2カ月以上を要し、デンマーク史上最長の交渉となった。同選挙では、フレデリクセン首相率いる社会民主党が第1党を維持したものの、前回選挙から大きく議席を減らした。また、左派・右派どちらの政治グループも過半数(90議席)に届かなかった。

選挙後、フレデリクセン暫定首相は、選挙結果に基づき、国王から組閣に向けた協議を主導するよう要請を受けて連立交渉を開始。その後なかなか合意形成に至らず長期の膠着(こうちゃく)状態に陥っていたが、6月1日、中道左派連立政権樹立に合意したと発表した(「ロイター」6月1日)。

連立協定には、子供や若者の教育などへの支援策や持続可能な農業政策など14項目が示されている。産業関連政策をみると、エネルギー分野では、ガス供給について2030年までに天然ガスから脱却し100%グリーンガスとする目標や北海・バルト海での洋上風力発電の積極導入などが記載されており、政府はエネルギー・電化政策に年20億デンマーク・クローネ(約500億円、1デンマーク・クローネ=約25円)を予算計上する。

研究開発を強化する姿勢も明確に打ち出しており、研究開発に対する公的な支出をGDP比で1%とする。国家安全保障体制の強化にも言及しており、2030年に防衛・危機管理への支出を少なくともGDP比5%(うち防衛分野は3.5%)まで拡大させる目標も記載されている。

新政権は少数政権で、政策ごとに他党の支持を得る必要があり、不安定な政権運営となる可能性がある。また、グリーンランドを巡る対米外交問題、欧州の安全保障環境の変化を踏まえた防衛力強化などが当面の重要課題となる見込み。さらに、税制や環境政策など国内政策の方向性についても、引き続き注視される(「ガーディアン」6月2日)。

(安岡美佳、福井崇泰)

(デンマーク)