米ノースダコタ州でアグリテック・イノベーションイベント「カルティベイト2026」開催
(米国)
シカゴ発
2026年06月18日
米国ノースダコタ州ファーゴで6月11日、アグリテック・エコシステム形成機関グランド・ファーム(Grand Farm)(注1)主催のカンファレンス「カルティベイト(Cultivate)2026」が開催された。同カンファレンスには農業生産者、アグリテック企業、大学、研究機関、政府関係者ら約500人が参加し、地域農業が直面する課題や今後の技術開発の方向性について議論が行われた。
グランド・ファームは、農業現場の課題を起点としたイノベーション創出を重視しており、毎年策定する「リージョナル・アグリカルチャー・ペイン・ポイント・レポート(Regional Agriculture Pain Point Report)」に基づき、研究開発や実証プロジェクトを推進している。2026年のレポートでは、(1)除草剤耐性雑草への対応、(2)病害虫の早期発見、(3)土壌排水性・土壌健全性の向上、(4)養分管理の高度化、(5)農業分野における労働力不足への対応の5項目が重点課題として示された。
カンファレンスの様子(ジェトロ撮影)
カンファレンスでは、米国農務省(USDA)農業研究局(ARS)が、人工知能(AI)を活用した雑草識別技術や自律型除草ロボット、病害虫の早期検知技術などの研究成果を紹介した。また、グランド・ファームおよびノースダコタ州立大学(NDSU)との連携により、土壌・作物・人の健康を一体的に捉える「健康な土壌、健康な食べ物、健康な人々(Healthy Soil, Healthy Food, Healthy People)」イニシアチブを推進していることが報告された。
民間企業からは、ドイツの医薬品・クロップサイエンス企業のバイエル(Bayer)が、グランド・ファームとの新たなパートナーシップを発表した。バイエルは、衛星画像やAIを活用した農業管理技術、短稈(たんかん)トウモロコシ、持続可能な航空燃料(SAF)の原料となるカメリナ(注2)生産の商業化などの取り組みを紹介し、農業分野の課題解決には大企業、スタートアップ、大学、行政機関の連携が不可欠だとの認識を示した。
また、労働力不足をテーマとしたセッションでは、農業機械の整備技術者や電気・機械系人材、中間管理職層の不足が地域共通の課題として挙げられた。登壇した農業機械大手ジョンディアのディーラーであるRDOエクイップメントの人材開発責任者は、自動化やデジタル化の進展に伴い高度な技術人材への需要が高まる一方、人材獲得競争が激化していると指摘した。対応策として、大学やコミュニティカレッジとの連携による人材育成、インターンシップおよび実習機会の提供、若年層への農業分野の魅力発信などの取り組みが紹介され、産学連携による人材確保の重要性が強調された。
イノベーションキャンパスでのデモの様子(ジェトロ撮影)
(注1)グランド・ファームは、ノースダコタ州ファーゴを拠点とするアグリテック・エコシステム形成機関であり、農業生産者、スタートアップ、大企業、大学、政府機関を結び付け、農業現場の課題解決に向けた技術開発や実証を推進している。現在、農業機械メーカーやスタートアップ企業、研究機関などが集積する次世代農業イノベーション拠点「グランド・ファーム・イノベーション・キャンパス(Grand Farm Innovation Campus)」を整備中で、自動運転農機やAI、ロボティクスなど先端農業技術の実証・実装の加速を目指している。2024年にはジェトロの支援のもと、埼玉県深谷市とパートナーシップを締結している。米国中西部のアグリテック・エコシステムについては、2025年12月26日付地域・分析レポート参照。
(注2)カメリナは非食用のアブラナ科植物で、米国北部や北欧、中央アジアなどで生育し、養分の少ない土壌や寒冷地でも育つ。油脂はSAFの原料として利用可能。
(井上元太)
(米国)
ビジネス短信 b46d7f34d1468476





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