ブラジルのペトロブラスとメキシコのPEMEXが戦略的協力に関する覚書を締結

(ブラジル、メキシコ)

調査部米州課

2026年06月29日

ブラジルの国営石油会社ペトロブラスは6月23日、メキシコ国営石油公社(PEMEX)と戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結した。ペトロブラスが公式サイトを通じて明らかにした。

両者は、炭化水素分野における共同プロジェクトの検討、開発、実施に向け、技術面および制度面での協力を目指す。具体的には、探鉱・生産などの上流分野では、メキシコ湾を中心とした深海・超深海開発や成熟油田の再活性化、下流分野では、精製、ガス処理、石油化学、肥料などのほか、エネルギー転換を含む幅広い分野での協力を見込む。MOUの有効期間は2年間で、双方の合意により延長が可能。なお、法的拘束力はなく、ジョイントベンチャー(JV)の設立や投資の実行については今後の検討事項としており、個別案件ごとにあらためて契約締結と事業性評価を行う。

ペトロブラスのマグダ・シャンブリアール最高経営責任者(CEO)は、「本覚書はペトロブラスにとって大きな可能性を有する戦略的協力の枠組みである」と述べ、同社は「メキシコ湾における探鉱や既存油田の生産拡大に関心を示している」とした。PEMEXのフアン・カルロス・カルピオ・フラゴソ総裁は、「メキシコ湾における深海、重質・超重質油エリア、プレソルト(注1)などでの生産の最適化や拡大が狙いだ」と期待を示した。

PEMEXは4月にも、エネルギーの国内自給率向上を目的に天然ガス開発を強化する方針を発表している(2026年4月10日記事参照)。一方、同社は資金力や技術・開発経験面での課題を抱えており、リオデジャネイロ沖のプレソルト開発で原油生産を拡大してきたペトロブラスの技術力への期待が高まっている。ブラジルの2025年の原油生産量は日量465万5,000バレルで世界第8位。他方、メキシコの原油生産量(2025年)は日量186万9,000バレルにとどまる(注2)。6月24日付のメキシコの現地紙「エル・フィナンシエロ」は、同国における原油開発の遅れや生産量の低迷について、「メキシコ政府の政策によりPEMEXの財務および技術基盤が弱体化したことが要因」と報じ、同社の構造的問題を指摘している。

(注1)プレソルトは、海底下約3,000~4,000メートルに位置する、岩塩層の下にある海底油田の一部のこと。

(注2)出所は、米国エネルギー情報局(EIA)。

(辻本希世)

(ブラジル、メキシコ)

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