商船三井、米国初の洋上LNG生産設備事業に3億ドルの投資を決定
(米国、日本、英国、スイス)
ニューヨーク発
2026年06月10日
商船三井(MOL)は6月4日、米国初となる浮体式液化天然ガス(LNG)生産設備(FLNG)事業(注1)について、設備開発会社デルフィン・ミッドストリーム(本社:テキサス州ヒューストン)、米独立系インフラ投資ファンドのグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(同:ニューヨーク州ニューヨーク)、スイスのエネルギー商社のビトルとともに最終投資決定(FID)に至り、同事業への出資を正式決定したと発表
した。商船三井の出資額は約3億ドルで、総出資額約14億ドルのうち約23%を占める。総事業コストは約50億ドルが見込まれている。なお、日本の海運会社によるFLNG事業への参画も初めてとしている。
同事業では、米国南部に位置するルイジアナ州沖合約40マイル(約64.4キロメートル)に年間440万トンの液化能力を有するFLNG設備を設置し、同設備で天然ガスを液化した上でLNG船に積み込む。2030年の稼働開始を見込んでいる。主要許認可の取得に加え、英国エネルギーユーティリティー大手のセントリカ、米天然ガス生産のエクスパンドエナジー(テキサス州ヒューストン)、スイスのエネルギー商社のガンバー、ビトルとの長期販売契約も締結済みである。また、韓国のサムスン重工業とも設備の建造契約を締結した。商船三井は2023年6月に、本事業への出資を発表して以降、開発への支援と事業性の評価などを進めてきた(2023年6月12日記事参照)。
同社によると、FLNGは海上で天然ガスを液化する設備で、陸上の設備に比べて用地取得や地域住民への影響を抑制できるほか、輸出入に伴う港湾混雑の回避といったメリットがある。米エネルギー情報局(EIA)によると、2024年末時点での米国における天然ガスの埋蔵量は約584兆立方フィート(約1万6,540立方キロメートル)だ(注2)。
また、2025年の米国における天然ガス生産量は約48兆立方フィート(約1,359立方キロメートル)で、前年比4.1%増、直近5年間では17.2%増加した。こうした生産増に伴い、2025年のLNGの輸出量は前年比26.1%増の5.5兆立方フィートと過去最高を記録した。今回の発表は、日本企業による米LNG事業におけるバリューチェーンの上流分野への参画事例としても注目される。
(注1)Floating Liquefied Natural Gasの略称。海上に浮かぶ大型施設で天然ガスを精製・冷却し、液化天然ガス(LNG)にして貯蔵・出荷する事業。
(注2)米軍事情報サイトのグローバルファイヤー・パワーのデータによれば、米国は2026年時点でロシア、イラン、カタールに次いで4番目の埋蔵量(1万3,402立方キロメートル)。
(大原典子)
(米国、日本、英国、スイス)
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