ゼロカーボン化に取り組む中国・ドイツ合弁の工業団地、中徳園管理委員会に聞く

(中国、ドイツ)

大連発

2026年06月18日

中徳(瀋陽)高端装備製造産業園(以下、中徳園)は2015年12月に中国国務院の承認を受けて設立された工業団地で、中国とドイツによるハイエンド設備製造分野の協力をテーマとする戦略的プラットフォームだ。瀋陽市南西部の鉄西区に位置し、計画面積は48平方キロメートルあり、団地内にはドイツ自動車大手のBMWをはじめ120社の外資系企業が集積している(「瀋陽日報」2025年12月24日)。2025年12月には、国家級ゼロカーボン産業園区(工業団地)の1つとして選定され、遼寧省では唯一の事例となった。2026年3月からゼロカーボン関連の重点プロジェクトを本格的に開始している。

ジェトロは6月2日、同産業園の国家級ゼロカーボン産業園区としての役割や具体的な取り組みについて、中徳園の運営管理を担う中徳園管理委員会産業発展部の陳卓主任に話を聞いた。

(問)国家級ゼロカーボン産業園区政策が導入された背景は。

(答)中国は「2030年までのカーボンピークアウト・2060年までのカーボンニュートラルを目指す」と表明しており、工業団地は排出削減の重点対象と位置付けられている。EU炭素国境調整メカニズム(CBAM、注1)への対応や、再生可能エネルギーの余剰電力の域内活用(地産地消)の必要性も、政策導入の背景にある。

国家発展改革委員会などは2025年6月、「ゼロカーボン産業園区建設に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、基本方針と評価基準を示した。同年12月には「国家級ゼロカーボン産業園区建設リスト(第1次)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表し、全国52の工業団地が選定された。さらに、2026年1月には「ゼロカーボン産業園区建設に関する指導意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表し、具体的な実務ガイドラインを示している。

(問)中徳園の排出削減目標や具体的な取り組みは。

(答)2027年までに、単位エネルギー消費当たりの炭素排出量を0.18トン(二酸化炭素換算)まで低減(注2)し、再生可能エネルギー比率を90%以上に引き上げることを目標としている。具体的な取り組みとして、遠景能源科技(エンビジョン・エナジー)が主体となり、中徳園周辺約1キロメートルの範囲に総出力100メガワットの風力発電機を設置する。併せて「グリーン電力専用の送電線」を新設し、風力発電機などで発電した再生可能エネルギーを中徳園内に直接供給することで、園内におけるゼロカーボン製造の実現を図る。

(問)中徳園入居企業や周辺日系企業への影響は。

(答)BMWおよびそのサプライヤーにとって、トレーサビリティーを確保したグリーン電力の利用は、ブランドイメージや国際競争力の向上に加え、本社が求めるESG要件を満たす上でも重要な要素となっている。将来的には、中徳園周辺に立地した日系企業に対しても、グリーン電力の直接供給が可能となる見込みだ。

(注1)EU域外から域内への輸入品について、その製造過程で生じたGHG排出量に応じたコストを課す仕組み。2026年より本格適用されており、2026年6月時点では鉄、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素の6つのセクターの製品を対象としている。2025年10月に施行したCBAM簡素化規則の詳細は、調査レポート「EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)の簡素化規則の解説(2026年2月)」を参照。

(注2)標準石炭1トンが完全燃焼した際に発生する二酸化炭素排出量を示す指標。国家発展改革委員会などが2025年6月に発表した「ゼロカーボン産業園区建設に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、年間総合エネルギー消費量が100万トン以上のゼロカーボン産業園区については、単位エネルギー消費当たりの炭素排出量を0.3トン以下と目標設定している。

(李莉)

(中国、ドイツ)

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