アイスランド、EU加盟交渉を巡り8月に国民投票へ
(アイスランド、EU)
ロンドン発
2026年06月08日
アイスランド議会は5月28日、EUとの加盟交渉再開の是非を問う国民投票を8月29日に実施することを決定
した。今回の国民投票の結果、交渉が再開され、その後交渉がまとまった場合、実際にEUに加盟すべきかどうかをあらためて問うための2回目の国民投票が実施される。
アイスランドは2009年にも当時の政権がEU加盟を申請し、加盟交渉を行っていたが、2013年の政権交代を受けて停止した経緯がある。2024年12月に発足した、クリストルン・フロスタドッティル首相が率いる社会民主同盟、改革党、国民党の3党連立政権は、当初は2027年までにEU加盟を巡る国民投票を実施する方針だったが、投票の時期を前倒しした。
国民投票が決定された背景には、2026年1月に米国のドナルド・トランプ大統領が、近隣のデンマーク自治領グリーンランドの領有に関して発言したこと(2026年1月13日記事参照)も挙げられている。ソルゲルズル・カトリン・グンナルスドッティル外相は、「国際秩序は深刻な圧力にさらされている。グリーンランドの問題は今回の決定に影響を与えた」と「ガーディアン」紙(2026年5月17日付)のインタビューで述べている。
外務省から委託を受け、調査会社のマスキナが2026年3月に行った世論調査(注)では、EUとの加盟交渉の再開を支持する割合は全体の42%で、反対との回答(39%)を上回った。しかし、EU加盟自体を支持する割合は31%で、加盟反対の46%を下回り、意見が割れている(4月16日「アイスランド・レビュー」誌)。
EU加盟を巡っては、アイスランドの主要産業である漁業への影響が注目を集めている。通常、加盟後は共通漁業政策(CEF)の下で漁業管理が行われ、魚種ごとに総漁獲可能量が設定される。これに基づき加盟国ごとに漁獲枠(クオータ)を配分され、各国はその範囲内で漁業者に割り当てを行うことになる。
現在、アイスランドはEU加盟国ではないものの、欧州経済領域(EEA)加盟国であり、EEA協定により、EU加盟国との間で財・サービス・資本・人の自由な移動が保障されている。また、同国はシェンゲン協定にも参加しており、多くのEU加盟国と同様に域内では原則として国境検査が撤廃されている。
(注)2026年3月12~19日に実施され、936人が回答した。
(植松麗良)
(アイスランド、EU)
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