トランプ米大統領、グリーンランド領有に向けての措置実施に言及、欧州諸国は牽制

(米国、欧州、デンマーク、グリーンランド)

デュッセルドルフ発

2026年01月13日

米国のトランプ大統領は1月9日、ホワイトハウスで行った記者会見で、これまで言及してきたデンマーク自治領グリーンランドの領有についてあらためて意欲を示した。会見中にトランプ大統領は、グリーンランドがロシアや中国に領有されることは許容できないとし、その前に米国が行動を起こさなければならないと述べた。そのために、友好的な方法(Nice way)か、強硬的な方法(More difficult way)かわからないが、米国はグリーンランドに対して何らかの措置を取ると繰り返し強調した。グリーンランドには米軍基地が存在し、それを強化する選択肢もあることを踏まえ、なぜ領有にこだわるのかという記者からの質問に対しては、国の防衛には所有権を持つことが必要で、基地を置くだけでは不十分だからだと述べた。

グリーンランドやデンマークをはじめとした欧州諸国は、これに対して牽制を強めている。トランプ大統領の会見に先立つ1月6日、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、英国、デンマークの首脳が共同声明を発表。北極圏の安定・安全保障がNATOにとって優先事項であることは明確で、安定維持のための活動や投資を増加させているとした。北極圏の安全保障は米国を含むNATO加盟国と連携して協力して実施されるべきとした上で、デンマークとグリーンランドの問題は当事者のみが決定するものだと、米国を牽制していた。

また同日、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5カ国の外相も北極圏の安全保障について共同声明を発表し、欧州7カ国の首脳声明と同様の見解を示した。さらに、グリーンランドのイェンス=フレデリック・ニールセン首相はSNSで、グリーンランドが戦略的な立地にあること、また、その安全保障は友好国・同盟国に依存していることは承知しており、こうした点から、近しくかつ忠実な友人同士である米国との関係は数十年にわたり重要だったとした。しかし、最近の同国から繰り返されるレトリック(誇張発言)は容認できないとし、「もううんざりだ(Enough is enough)」と強い語気でいら立ちを見せた。加えてデンマーク政府は、スロバキア、オランダといったEU諸国に加え、カナダなどとも相次いで連絡を取り、支持を得ている。

(福井崇泰)

(米国、欧州、デンマーク、グリーンランド)

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