2026年の成長率を2.8%に下方修正、エネルギー価格上昇が重しに、OECD経済見通し

(世界、中東)

調査部国際経済課

2026年06月05日

OECDは6月3日、最新の「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2026年を2.8%、2027年を3.1%と予測した(添付資料表1、2参照)。3月の前回予測(2026年3月30日記事参照)から、2026年は0.1ポイントの下方修正、2027年は0.1ポイント上昇修正された。G20諸国のインフレ率は、2026年を4.0%、2027年を3.1%と予測し、前回予測から2026年は横ばい、2027年は0.4ポイントの上方修正となった。

今回の見通しでは、中東情勢の悪化が世界経済の最大の下振れ要因と位置付けられた。ペルシャ湾岸諸国で生産・輸出されるエネルギーや、農業・工業向けの主要投入財の価格が2026年2月以降に急騰し、インフレ圧力を高めるとともに、実質所得や経済成長を下押ししていると指摘した。

主要国・地域別では、米国の成長率は2026年に2.0%、2027年に1.8%へ減速する見通しだ。エネルギー輸出の拡大が成長を下支えする一方、エネルギー価格上昇に伴うインフレと家計購買力への悪影響が成長を抑制する。ユーロ圏の成長率は、2026年が0.8%、2027年が1.2%とされた。労働市場の底堅さや防衛支出の増加が下支えする一方、一部の国では財政引き締めや復興基金「次世代のEU」の支出の剥落が成長を抑える。中国は2026年に4.5%、2027年に4.3%と、緩やかな減速が見込まれた。不動産部門の調整とエネルギー関連の脆弱(ぜいじゃく)性が重しとなる一方、再生可能エネルギー比率の上昇や十分な石油備蓄、ガソリン価格上限が影響を緩和するとした。

今回の見通しは、エネルギー供給の混乱が2026年第3四半期以降に徐々に和らぎ、混乱が比較的短期にとどまる「時間限定的な混乱シナリオ」を前提としている。一方、2027年後半まで和平合意が成立せず、広範な混乱が2027年にかけて続く「長期化シナリオ」では、世界経済の成長率は2026年に2.1%、2027年に1.8%まで低下するとした。エネルギー価格の一段の上昇、供給不足、金融環境の引き締まり、企業・消費者マインドの悪化を通じて、世界的に経済活動を下押しするとしている。特に、湾岸地域からのエネルギー供給に依存するアジアのエネルギー輸入国は影響を受けやすいと指摘した。世界のインフレ率も、2026年に0.4ポイント、2027年に1.3ポイント押し上げられる可能性がある。

一方、いずれのシナリオにも成長の上振れ・下振れのリスク要因が数多く存在するとした。エネルギー供給の長期的な途絶や、半導体などへの輸出規制の強化は、世界の経済成長を支えている人工知能(AI)関連投資や世界経済全体に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、金融市場の不安定化や新興国の対外収支悪化が懸念される。一方で、企業の適応力やAIによる生産性向上が成長を押し上げる可能性もあるほか、米国の関税政策も成長や不確実性に影響しうるとした。

(馬場安里紗)

(世界、中東)

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