中東情勢悪化で世界経済の下振れリスク、OECD見通し
(世界、中東)
調査部国際経済課
2026年03月30日
OECDは3月26日、最新の「世界経済見通し中間報告
」を発表した。世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2026年を2.9%、2027年を3.0%と予測した(添付資料表1参照)。2025年後半の実績や2026年初の月次指標を踏まえると、2026年の成長率は前回見通し(2025年12月4日記事参照)から上方修正される可能性もあったが、中東情勢の悪化に伴う影響がこれを打ち消したとしている。G20のインフレ率は2026年に4.0%、2027年に2.7%と見込んだ。
OECDは、紛争激化前の世界経済について、金融・財政面の下支えや人工知能(AI)関連需要を背景に、底堅く推移していたと評価した一方、2026年2月末以降の中東情勢の悪化により、世界のエネルギー市場に大きな影響が生じているとした。今回の見通しは、3月20日時点の原油・天然ガス先物市場の価格動向に沿ってエネルギー価格が推移するという仮定に基づいている。
主要国・地域別では、米国は2026年に2.0%と前回見通しから0.3ポイントの上方修正、2027年に1.7%と前回見通しから0.2ポイントの下方修正となった(添付資料表2参照)。2026年の第1四半期は成長モメンタムが強いものの、その後は購買力の低下、労働力人口の伸び鈍化、家計貯蓄の減少を背景に個人消費が減速するとした。
ユーロ圏は2026年に0.8%、2027年に1.2%と、前回見通しからそれぞれ0.4ポイント、0.2ポイントの下方修正となった。高エネルギー価格が経済活動の下押し要因になるとした。日本は2026年、2027年ともに0.9%と前回見通しから変化はない。堅調な企業収益と政府補助金が設備投資を支え、新たな財政措置が特に2026年の最終需要を押し上げる一方、エネルギー輸入コストの上昇に相殺されるとした。中国は2026年が4.4%、2027年が4.3%で、いずれも前回見通しから据え置いた。OECDは、高エネルギー価格の影響は国によって異なり、エネルギー輸入国では交易条件が悪化する一方、エネルギー輸出国では所得増加につながると指摘している。
また、OECDは下振れリスクとして、中東からの輸出障害が長引くことで生じるエネルギー価格のさらなる上昇や主要商品の供給不足、AI投資収益の下振れに伴う金融市場での再評価などを挙げた。その上で、各国政府に対し、エネルギー価格上昇の影響を緩和する措置は、真に必要な家計や企業に的を絞って講じるとともに、エネルギー消費を抑制するインセンティブを損なわない設計とし、措置の終了時期を明確にする必要があると提言した。あわせて、中長期的には、エネルギー効率の改善や化石燃料への輸入依存度を下げる政策が、将来の地政学的リスクへの耐性強化と家計・企業のコスト負担軽減につながるとした。
(峯裕一朗)
(世界、中東)
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