見本市「COMPUTEX」と「InnoVEX」が開催、台湾当局はスタートアップとハイテク産業の連携強調
(台湾)
調査部中国北アジア課
2026年06月16日
台湾の台北市で6月2~5日、世界有数の国際コンピュータ見本市「COMPUTEX」およびスタートアップ企業向け展示会「InnoVEX」が開催された。COMPUTEXには33カ国・地域から約1,500社が参加し、過去最多の6,000ブースを突破したほか、152カ国・地域から11万人以上が来場した。同時開催されたInnoVEXも規模を拡大し、23カ国・地域から約500社のスタートアップが出展。来場者数は前年比で約3割増となる4万4,000人超を記録した。
COMPUTEXの開幕式に出席した頼清徳総統は、2026年第1四半期の台湾の実質GDP成長率が前年同期比14.55%を記録したほか、同年5月には台湾の株式市場の時価総額が4兆9,500億ドルと世界第5位の規模となったと指摘。2027年には世界上位20の経済体入りを見込んでいると強調した。また、台湾が世界に不可欠な人工知能(AI)拠点であるとし、2032年までの安定した電力供給や、水・土地の確保を進めると述べた。さらにAI発展プロジェクト「AI新十大建設」を通じて、2040年までに50万人のAI人材を育成すると説明。こうした成長の果実を社会全体で共有するため、1,000億台湾元(約5,000億円、1台湾元=約5円)規模の予算を投じて中小・零細企業や伝統産業における事業の高度化を支援するほか、子育て世帯への手当支給など、次世代向け支援策に還元する方針を示した。
両開幕式に出席した行政院の卓栄泰院長は、台湾のスタートアップ企業数が2016年時点の2,641社から2024年には9,576社と約3.6倍に拡大したと述べ、台湾当局として資金投入を通じてスタートアップとハイテク産業の連携を強化する方針を示した。具体的な支援策として、「産業創新条例」改正(注1)により、AIやネットゼロ移行への投資支出を、新たに税額控除の対象分野に加えたほか、スタートアップ投資への税制優遇を強化すべく、ベンチャーキャピタル事業の資本金分割払い込み要件の緩和、エンジェル投資家の投資控除の適用条件の緩和を進めているとした。
卓院長はまた、半導体やAIなど「5大信頼産業」(注2)を重点とし、地政学的リスクを背景に中国を中心とする既存の供給網への過度な依存回避を目指す「非赤色サプライチェーン(非紅供應鏈)」の構築を主導していく姿勢を強調した。
InnoVEX開幕式でスピーチする卓行政院長(日本台湾交流協会提供)
NVIDIAのブースの様子(日本台湾交流協会提供)
頼総統による会場視察では、各企業のトップから最新技術が披露された。エイスース(華碩)の施崇棠董事長は、スーパーコンピューティング能力を備えたサーバー「AI POD」を展示したほか、繁体字中国語に対応した「フォルモサ大型言語モデル」への支援を説明。フォックスコン(鴻海)の劉揚偉董事長は、米国エヌビディア(NVIDIA)の次世代チップ核心技術を採用した最新のサーバーアーキテクチャを紹介した。また、ペガトロン(和碩)の童子賢董事長は、AI半導体の膨大な発熱に対応した完全液冷式のサーバープラットフォームおよびロボット犬製品を展示した。なお、InnoVEXに設けられたNVIDIAの特設パビリオンでは、台湾やアジア太平洋地域のスタートアップが生成AIなどの最先端技術を展示し、国際的な商機拡大を図る様子がみられた。
(注1)2025年5月の同法改正により、投資減税の適用対象となる分野について、従来のスマートテクノロジー機械設備、第5世代移動通信システム(5G)、情報通信セキュリティー製品またはサービスに加え、新たにAI製品またはサービス、省エネ・炭素削減に関するハードウエア、ソフトウエア、技術または技術関連サービスも対象に追加された。また、対象となる支出の上限額が10億台湾元から20億台湾元に引き上げられ、適用期限も2029年12月末まで延長された(詳細は台湾「外資に関する奨励」参照)。
(注2)2024年9月に発表された頼総統の新たな経済政策(2024年9月25日記事参照)。半導体、AI、軍事産業、セキュリティー産業、次世代通信の5つを指す。
(藤本海香子)
(台湾)
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