アルメニアの議会選挙で与党が勝利
(アルメニア)
調査部欧州課
2026年06月09日
アルメニアで6月7日、議会選挙が行われた。8日に発表された全投票所の開票結果によると、与党「市民契約党」の得票率は49.81%、これに次ぐ野党連合「強いアルメニア」は23.29%の票を獲得した(「NEWS.am」6月8日)。与党は得票率で50%を下回ったものの、規定の得票率に満たず議席を獲得できない政党などを考慮すると、過半数の議席を確保する可能性がある。ニコル・パシニャン首相は開票状況が発表される中で記者会見を行い、自身が率いる市民契約党の勝利宣言を行った。
選挙では、2021年の前回選挙で単独過半数の議席を獲得した与党「市民契約党」と最大野党連合「強いアルメニア」が争った。パシニャン首相率いる与党は、アゼルバイジャンとの合意を進めるなど和平と安定を優先し、EUや米国との連携強化によりロシア依存を減らしつつある。一方、野党側はロシアとの関係を重視し、アゼルバイジャンに対する警戒も強い。
今回の選挙戦では対外政策が最大の焦点となった。5月4~5日にアルメニアの首都エレバンで初のEU・アルメニア首脳会議および第8回欧州政治共同体サミットが開催された(2026年5月11日記事参照)。欧州はアルメニアを地域貿易の中心地とし、必要なインフラを整備、同国製品の欧州市場への流入拡大を約束、双方は立場を接近させた。こうした流れに難色を示したロシアは5月末、アルメニアに対し、同国がユーラシア経済連合(EAEU)から離脱する場合、同国向けロシア産ガスの価格を見直す可能性を示唆するなど(「アルメンプレス」5月25日)、強硬姿勢を示した。一方で、選挙戦最中の6月1日にプーチン大統領がパシニャン首相の誕生日にあわせ電話会談、パシニャン首相は選挙後の訪ロを発表するなどロシアに歩み寄る姿勢を見せた(「アルメンプレス」6月3日)。パシニャン首相自身は5月27日の選挙運動で「EAEUかEUかの決定権は私ではなく国民にある」と述べていた(「アルメンプレス」5月27日)。
今回の選挙で市民契約党が勝利したとはいえ得票率が半分を切っており、憲法改正に必要な3分の2の議席には及ばない。アゼルバイジャンはアルメニアに対して、和平条約締結の前提として憲法改正を求めている。2025年3月のギュムリ市議会選挙で市民契約党が過半数を割ったことからも、パシニャン首相の支持率は2018年のビロード革命直後の水準から大幅に低下していると分析されている(「ユーラシアネット」5月27日)。
(鶴見敦子)
(アルメニア)
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