世界経済、新型コロナ禍後で最低の成長率、世界銀行が2026年見通しを下方修正

(世界)

調査部国際経済課

2026年06月16日

世界銀行は6月11日、「世界経済見通し(プレスリリース英文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます和文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。2026年の世界経済成長率(実質GDP伸び率)は2.5%と、2026年1月時点の前回予測(2026年1月19日記事参照)から0.1ポイント下方修正され、新型コロナ禍以降で最も低い伸びとなった(注1、添付資料表1、2参照)。今回の見通し悪化の背景は、中東情勢を受けたエネルギー市場の混乱と商品価格の上昇だ。世界銀行は、1月時点の予測では7%下落を見込んでいた2026年の国際商品価格が、前年比で22%上昇すると予測した。ブレント原油価格は2026年に1バレル当たり平均94ドルと、2025年比で36%上昇するほか、欧州の天然ガス価格も液化天然ガス(LNG)の需給逼迫を背景に約30%上昇すると予測した。

こうした商品価格の上昇は、インフレ圧力と金融市場の不安定化にもつながっていると世界銀行は指摘する。先進国と新興・途上国の双方で総合インフレ率が上昇し、世界的なインフレ率は2025年の3.3%から2026年は4.0%に上昇するとした。商品価格の上昇やエネルギー供給の混乱に伴うインフレ懸念を背景に、債券利回りやブレークイーブン・インフレ率(注2)が上昇し、主要国・地域の中央銀行による金融緩和期待は後退し、ユーロ圏と英国では短期的な利上げの可能性もあるとする。

下振れリスクも大きい。世界銀行は、中東情勢の再激化や商品供給の混乱が長期化した場合、商品価格の一層の上昇、インフレ圧力、食料不安、金融ストレスを通じて世界経済の成長率がさらに低下する可能性を指摘した。エネルギー供給の混乱が想定以上に深刻化した場合、2026年の成長率は1.3%まで低下し、インフレ率が4.4%まで上昇する可能性があるとしている。

一方で、人工知能(AI)関連投資の拡大は上振れ要因とした。AI関連投資が地理的に広がり、AIサプライチェーンに組み込まれた国の輸出を押し上げれば、短期的に成長を下支えするとともに、長期的にもAIの有効な導入による生産性向上が世界の潜在成長率を高める可能性があると指摘した。

(注1)同報告書は2026年6月2日時点のデータを予測の前提としている。
(注2)市場が推測する期待インフレ率を示す指標。名目金利と実質金利の差から算出される。

(峯裕一朗)

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