架空新党「ゴキブリ人民党(CJP)」が首都で抗議活動
(インド)
ニューデリー発
2026年06月09日
インドの首都ニューデリーで6月6日、架空新党「ゴキブリ人民党」(CJP、Cockroach Janata Partyの略称)が初の抗議活動を行った。CJPはこれまでオンラインプラットフォームを中心に活動しており、オフラインの活動は今回が初となる。抗議活動では、5月3日に実施された医学部入学のための全国統一試験(NEET)で、試験問題が事前に流出していたことが明らかとなった問題に対して、教育相の辞任を求めた。
CJPの発足は、5月15日にスーリヤ・カント最高裁長官が法廷で、失業中の若者を「ゴキブリ」や「寄生虫」に例えたことがきっかけ。その後、最高裁長官は、「偽の学位で職に就いた者を批判した意図であり、若者全体を対象にした発言でない」と釈明したものの、若者の社会不満と結びつき、SNSやメディアを巻き込む全国的な論争に発展した。これを受けて5月16日に、米国在住の社会活動家であるアビジート・ディプケ氏が、モディ首相率いる中央政権与党「インド人民党(BJP)」の名称をまねるかたちで、「ゴキブリ」を風刺的に用い、SNS上で架空の新党「CJP」を立ち上げた。ディプケ氏は6月6日に来印し、抗議活動に参加した。
CJPのインスタグラムアカウントのフォロワー数は6月8日時点で2,279万人と、与党BJPのフォロワー数(945万人)を上回っている。CJPの活動が若者を中心とした人々の共感を得ている背景には、インドの抱える社会課題である若者の失業率の高さがある。インド政府が実施する定期労働力調査(PLFS)によると、2025年の全体の失業率は3.1%であるのに対して、15歳から29歳の若年層の失業率は9.9%と全体を大きく上回る。
南西アジアでは、若者による反政府デモを発端とした政変が相次いでいる。2024年8月にはバングラデシュで、公務員採用の特別枠に反発した学生らによる大規模なデモをきっかけとして、約15年続いたハシナ前政権が崩壊した(2024年8月6日記事参照)。また、ネパールでも2025年9月に、SNSの利用停止に端を発した若者による反政府デモにより、オリ前首相は辞任に追い込まれた(2025年9月11日記事参照)。
インドの政治に目を向けると、与党BJPとBJPを中心とする与党連合が中央政権のほか州レベルでも全28州と議会を有する3つの連邦直轄領のうち、21の州と2つの連邦直轄領で政権を担っており、盤石な政権運営を実現している。国政レベルでの対抗勢力は存在しない状況となっており、中央政権は既存政党以外の勢力による動きに警戒感を強めているものとみられる。
(丸山春花)
(インド)
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