EU、防衛産業向け規制簡素化法案で合意、域内投資と生産能力拡大を後押し

(EU)

ブリュッセル発

2026年06月15日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は6月10日、域内防衛産業の投資と生産能力拡大を後押しする防衛産業オムニバス法案(2025年6月23日記事参照)について政治合意に達したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。法案は、2030年までにEU域内の防衛力の再構築を目指す防衛白書「準備2030」(2025年3月21日記事参照)に基づき、加盟国予算とEU予算を合わせ最大8,000億ユーロ規模の防衛投資を行う「欧州再軍備計画」(2025年3月21日記事参照)の実施を円滑化することを目的としている。今回合意された内容は、主に(1)許認可手続きの迅速化、(2)防衛調達および域内移転の円滑化、(3)欧州防衛基金(EDF)の簡素化で構成されている。

(1)については、防衛関連事業に関し加盟国間で整合性を確保した枠組みを導入する。許認可の審査期限に関しては、欧州委案では原則60日以内としていたが、今回の合意では原則42営業日以内に修正した。他方、例外的に延長は可能としつつ、全体の手続き期間は最長102営業日までとするとした。期限内に決定がなされない場合は、原則として承認されたものとみなす欧州委案の規定は維持する。また、単一窓口の設置や申請のデジタル管理などにより、手続きの透明性の向上と加盟国間での統一的な運用を確保する。

(2)については、小規模案件に係る手続きの簡略化を目的として公共調達指令の適用閾値(いきち)を引き上げるほか、より安定した長期契約の締結を可能にするため、枠組み契約の期間を現行の最長7年から10年へと延長する。また、複数の加盟国による共同調達を実施しやすくするための規定も新たに導入する。さらに、防衛関連製品の加盟国間の移転を円滑化する観点から、認定事業者間および産業パートナーシップ向けの一般移転ライセンスを新設する。

(3)については、まずEDFの申請手続きの簡素化を図るとともに、中小企業が参加する場合にEUの資金負担割合を引き上げることで、中小企業の参加を促進する。また、評価基準についても、卓越性や効率性を重視するかたちで明確化する。加えて、ウクライナ企業との協力を強化するため、ウクライナで実施する試験費用も支援対象に含める。さらに、参加企業の知的財産権を保護しつつ、出資した加盟国に対しても当該事業の成果へのアクセス権を認める。このほか、防衛目的に限り、化学物質の使用に関する環境・化学規制の一部につき適用除外も認める。

法案は今後、EU理事会と欧州議会の正式な採択を経て施行される見込み。

(吉沼啓介)

(EU)

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