RCEPの一般見直しに向けて産業界が議論、東アジアビジネスフォーラム

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

ジャカルタ発

2026年06月12日

ジェトロ、日本商工会議所・東京商工会議所、東アジアビジネス評議会(EABC)が5月26日に開催した「東アジアビジネスフォーラム」では、中東情勢を背景とする供給網リスクへの対応に加え、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を通じた域内連携の深化について議論が行われた。

ジェトロの高島大浩理事は、ジェトロとEABCが共同で実施したアンケート結果を基に「RCEPの認知度が6割以上に及ぶ一方、実際の利用は2割以下にとどまる」と指摘した。その上で、同協定のさらなる活用促進、実施支援を通じて、地域のレジリエンス強化に取り組む必要性を強調した。また、EABCのジェイ・ユバロス議長は、「RCEPは単なる貿易協定ではなく、ASEAN、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを含む東アジアの戦略的経済プラットフォームである」と述べ、特に中小零細企業(MSME)が同協定を容易かつ安心して利用できる環境を整備することの重要性を指摘した。

ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)の渡部康人事務局長は、「ASEAN+3地域の供給網は2000年ごろと比べて2024年時点で高密度化し、相互接続性が高まっている」と指摘した一方、統合が深まることで地政学的ショックがエネルギー市場、海上輸送ルート、金融環境、製造業に波及しやすくなるとの見方を示した。今後の優先課題として、(1)多様化、(2)デジタル化、(3)サステナビリティ、(4)人的資本の4点を挙げ、RCEPは生産ネットワークの統合や越境連結性の向上に資する枠組みだと強調した。

パネル討議では、RCEPの一般見直しを視野に、企業実務に即した改善点が議論された。ASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)フィリピン2026のアンソニー・パトリック・チュア事務局長は、「課題は、認知度の低さに加えて、中小零細企業にとって時間と費用の負担が少ない利用手続きにすることだ」と指摘した。タイ貿易院のクライシン・ウォンスラクライ副事務局長は、電子原産地証明書(e-CO)の導入により原産地証明取得の時間や費用を削減できると述べた。三菱ケミカルグループ執行役員・チーフサステナビリティオフィサーの三田紀之氏は、「手続きの合理化・デジタル化に加え、エネルギーや鉱物の安定供給、情報管理システムの整備もRCEPの議論に含めるべきだ」と指摘した。

写真 ビジネスフォーラムの様子(ジェトロ撮影)

ビジネスフォーラムの様子(ジェトロ撮影)

(注)同フォーラムでは、中東情勢を受けたサプライチェーンリスクと東アジア地域としての対応についても議論された(詳細は、2026年6月12日記事参照)。

(大滝泰史、ティアラ・ダルマシャンティ)

(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)

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