中国ラオス鉄道の活用で、カンボジア農産物の新回廊が正式に開通
(ラオス、カンボジア、中国)
ビエンチャン発
2026年06月29日
ラオスの首都ビエンチャンで開催されたラオス農業環境省とカンボジア農林水産省の2国間閣僚会合に合わせ、6月22日にビエンチャン郊外のタナレーン・ドライポート(2020年7月13日記事参照)で、カンボジア産ドリアンを積載したコンテナの中国向け出発式が行われた。
コンテナは、カンボジアからトラックでラオス国境のノンノッキアンまで輸送された後、ラオス籍トラックに積み替えられ(注1)、ビエンチャンへ輸送された。その後、中国ラオス鉄道(2025年11月18日付地域・分析レポート参照)を利用して中国へ向けて出発した。
今回の出発により、カンボジア産農産物をラオス経由で中国市場へ直接輸送する新たな物流回廊が正式に開通した。これまでカンボジア産農産物の対中輸出は、主にベトナムやタイ経由する陸路輸送で行われており、複数回の国境通過手続きが必要なため、輸送には15~20日を要していた。一方、新ルートでは中国ラオス鉄道を活用することで、輸送期間を約1週間に短縮できる。
同回廊の開通により、カンボジアは対中農産物輸出における物流網の多様化と輸送リスクの分散を図ることができる。また、ラオスにとっても、中国ラオス鉄道を活用した域内物流ハブとしての機能強化につながることが期待される。
ラオスとカンボジアは、2023~2027年を対象とする「農業協力に関する覚書」に基づき、農業分野の連携を進めてきた。しかし、両国間の貿易は電力取引が中心(注2)で、農産物取引の規模は限定的だった。このため、両国は2026年1月、「ラオス経由の農産物輸送・積み替えに関する協定」に調印し、新回廊開設に向けた制度整備や物流体制の構築を進めてきた(注3)。
ラオス領内を通過する農産物などのトランジット貨物は、到着前に衛生植物検疫措置(SPS、注4)に関する適合承認を取得する必要がある。事業者は原産国が発行した植物検疫証明書などを提出し、ラオス農業環境省からトランジット許可証の交付を受けなければならない。また、病害虫の侵入・拡散を防止するため、貨物は適切に梱包(こんぽう)・封印された状態で輸送され、許可のない積み替えや開封は認められていない。さらに、貨物は最終仕向け国である中国の植物検疫要件にも適合している必要がある。
タナレーン・ドライポートに到着したカンボジア産ドリアン(インタートランスポート提供)
(注1)ラオス側の輸送を担当したインタートランスポート(2026年6月25日にジェトロがヒアリング)によると、将来的には輸送協定の活用により、積み替えを行わずにカンボジア籍トラックによるラオス国内輸送が実現する可能性があるという。
(注2)ラオス商工省貿易統計によると、2025年のラオスからカンボジアへの輸出額は2億6,100万ドル(前年比19.1%増)で、このうち電力が2億2,700万ドル(8.2%増)を占めた。一方、カンボジアからラオスへの輸入額は1,400万ドル(6.6%増)だった。
(注3)カンボジアは、ラオス経由で中国へと輸送する優先品目として、ドリアン、バナナ、コメ、マンゴー、リュウガン、キャッサバを指定している。一方、ラオスからカンボジア向けの優先品目には、コーヒー、キャベツ、タマリンド、もち米、ブルーベリー、カボチャが指定されている。
(注4)衛生植物検疫措置(SPS)とは、病害虫や疾病、食品汚染などに起因するリスクから、人・動物・植物の生命および健康を保護するための措置のこと。
(山田健一郎)
(ラオス、カンボジア、中国)
ビジネス短信 7885fa144dc81ac3





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