タミル・ナドゥ州でビジャイ新政権が発足、産業政策の継続性を強調

(インド)

チェンナイ発

2026年06月11日

インド南部タミル・ナドゥ(TN)州では、5月10日に新政権が発足し、映画俳優から政治家へ転身したジョセフ・C・ビジャイ氏が州首相に就任した。同氏率いる新党タミラガ・ベットリ・カザガム(タミル勝利連盟、TVK)は単独過半数に届かなかったものの、インド国民会議派(INC)やインド共産党(CPI)などの支持を得て過半数の120議席を確保し、連立政権を樹立した。

同政権は発足直後から福祉重視の姿勢を打ち出し、電力無償枠の拡大、女性の安全対策、麻薬対策を推進している。また、財政白書の公表や汚職防止、行政権限の一元化を掲げるとともに、産業政策の継続性も強調している。閣僚は最終的に35人体制外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなり、女性やSC(指定カースト)出身者を含む多様性を重視した布陣となった(2026年5月14日記事参照)。

TN州では映画界と政治の結びつきが強く、M.G.ラーマチャンドランやJ.ジャヤラリタに続く系譜として、ビジャイ氏の登場は象徴的といえる。一方で、TVKは若年層を中心に支持を拡大しているものの基盤は脆弱(ぜいじゃく)で、連立政権の維持と政策実行力の確保が課題となる。加えて、政権を失った前与党ドラビダ進歩同盟(DMK)と分裂騒動の渦中にある全インド・アンナ・ドラビダ進歩同盟(AIADMK)の動向も含め、州政治は大きな再編局面を迎えている。

こうした状況の中、ビジャイ政権は政策の継続性を重視し、新産業政策の基本方針や既存の投資案件を維持する姿勢を示している。また、州投資支援機関 のガイダンスや州産業開発支援機関のSIPCOTなどの支援制度も従来どおり運用し、企業との対話を通じ投資環境の安定性を訴求している。結果として、行政・制度・案件が一体となった継続性が投資家の信頼回復につながっている。日系企業にとっては、福祉政策の影響を見極めつつ、政府から事業計画に対して支援を取り付けるなど、政策の継続性と政府との連携が引き続き重要となる。

(藤井芳彦)

(インド)

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