中国当局、化学品8種の麻薬転用防止で警告通告を公表

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年06月16日

中国の国家禁毒委員会弁公室は5月22日、「8種類の化学品が違法ルートに流入し麻薬製造に使用されるのを防止するための警告通告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。近年、合成麻薬問題が世界的に拡大し、国際犯罪組織が摘発回避のため規制対象外の化学品を調達する動きがあり、それに対抗する措置である。

同通告では、(2-ブロモエチル)ベンゼンなど8種類の化学品について、CAS番号(化学物質の識別番号)および関税分類番号(HSコード)を明示し、麻薬製造目的での不正流通リスクに注意を喚起した。対象には、(2-ブロモエチル)ベンゼン、(2-クロロエチル)ベンゼン、プロパノイルクロリド、ベンズアルデヒド、ベンジルクロリド、メチルアミン、ベンジルアルコール、N-メチルホルムアミドが含まれる。

また同弁公室は、2025年11月10日付で「麻薬製造用物品および規制対象外の麻薬製造可能化学品・設備の流出防止に関する通告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表し、これら物品の生産、流通、輸送、輸出入の各段階での管理強化に加え、国内外法令の順守や処罰リスクへの留意を求めている。さらに輸出に当たり、特に米国、カナダ、メキシコなどの関連法令への注意を呼びかけた。

こうした措置は、同弁公室による継続的な注意喚起の延長線上にある。2019年8月の警告通告では、非医療用麻薬・向精神薬や麻薬製造用物品に関する違法犯罪の防止に向け、関連法令の周知と順守を呼びかけた。続く2023年11月の警告通告では、麻薬および向精神薬ならびに麻薬製造用物品について、違法な生産、販売、輸送や規制違反の輸出入の禁止に加え、規制対象外の化学品および関連設備についても、麻薬製造への不正利用を認識した上での関与の法的責任を明示し、輸出先国の法令順守や域外適用による摘発・制裁リスク、とりわけ米国やメキシコ向け取引への注意喚起を行っている。

また、米中両国は2025年10月の首脳会談で、フェンタニル関連化学品の米国への流入防止を含む麻薬対策協力の強化で合意しており(2025年11月6日記事参照)、その後も当局間の連携が進展している。2026年2月には米国で「米中麻薬対策情報交流会」(2002年開始)が開催されるなど、協力の継続の動きがみられる。

なお、商務部など5部門は2025年11月10日、麻薬製造用化学品の輸出管理目録の調整に関する公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、米国、カナダ、メキシコを対象国に追加するとともに、これら3カ国向けに特定の化学品13品目を新たに規制対象とし、輸出を許可制とするなど管理を強化した(注)。上記13品目の中にはフェンタニルの原料となる化学品も含まれており、これらについては「中国のフェンタニル類物質管理白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で管理強化の方針が示されている。

(注)2026年5月22日の同種公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、対象化学品が新たに3品目追加され、米国、カナダ、メキシコ向けの当該化学品の輸出について同様に許可申請が必要とされた。

(山本理)

(中国)

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