中国の特鋭徳、AI計算力向け電力インフラ「算電島」を発表、高効率化とコスト低減に期待
(中国)
青島発
2026年06月24日
中国の電力設備メーカーの特鋭徳電気(TGOOD)は6月6日、計算力データセンター(注1)向けのプレハブ変電所(注2)「算電島」を発表した。同社は背景として、大規模言語モデル人工知能(AI)産業が急速に拡大する中、インテリジェント計算力産業は超高密度負荷や大規模設備導入、通年の連続稼働といった新たな段階に入りつつあることを説明した。一方で、従来の電力供給システムは、計算力インフラの急速な立ち上げや高効率・省エネ、高い信頼性確保といった需要に十分に対応しきれておらず、中国におけるAI計算力の発展を制約する主要なボトルネックとなっていると指摘した。
本プロジェクトは、AI計算力発展における複数の課題解決を目的としている。まず、従来の高圧変電所は建設期間が長く、工事も複雑であることから、データセンターが求める迅速な稼働開始や増設のペースに対応することが難しかった。これに対し、「算電島」はプレハブ方式による標準化を実現し、短期間での導入を可能にしたとしている。
供電効率の面では、220キロボルト(kV)の高圧電力を直接取り込み、800ボルト(V)の直流で出力する仕組みを採用し、多段階の変圧や複雑な交流・直流変換を簡素化する構成とした。
エネルギーコストの面では、従来のデータセンターでは電力システムと計算力システムが分断され、一方向の固定的な電力供給に依存し、運用を動的に調整できないという課題があった。「算電島」は再生可能エネルギーの直接接続や蓄電制御、仮想発電所(VPP)などを組み合わせることで、電力と計算力の協調運用を実現する。これにより、単位トークン当たりの電力コストは約30%低減するとされ、計算力価格全体の低下にも寄与するとみられる。
電力供給の安定性の面では、AI大規模モデルの学習では極めて高い安定性が求められ、わずかな電圧変動や瞬間的な電力障害でも計算タスクの中断や再起動を招く。同プロジェクトは外部ネットワークの乱れやGPU(画像処理装置)負荷の変動にも耐え得る設計とされ、電力供給安定性はほぼ100%の水準を実現するとしている。
今後3年間、中国の8カ所の国家レベル計算力ハブ(注3)が集中的な稼働開始と拡張期を迎える見通しだ。本プロジェクトはこれらに対し、再現・大規模展開可能な国産の電力供給モデルを提供し、中国のAI計算力産業が抱えるエネルギー面の課題克服に寄与する可能性がある。
(注1)AIやビッグデータを処理するための計算拠点。
(注2)工場で組み立てて、現地で素早く使えるコンパクトな変電所。
(注3)2022年に中国政府が正式に計画を開始した、全国のデータセンターやクラウド、AI計算資源をつなぐハブ・ノード。デジタル経済を支えるインフラ(電力+通信+データ)として位置付けられている(2022年3月2日記事参照)。
(董玥涵)
(中国)
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