米19州と首都ワシントンの司法長官、連邦契約業者のDEI活動禁止の大統領令を巡り、連邦政府を提訴
(米国)
ニューヨーク発
2026年06月15日
米国19州およびコロンビア特別区(首都ワシントン)の司法長官は6月10日、DEI(多様性・公平性・包摂性)に関する大統領令を巡り、連邦政府を提訴
した。本訴訟はメリーランド州の連邦地方裁判所に提出された。原告は、連邦契約への追加が命じられた「人種的に差別的なDEI活動を禁止する条項」を設けた大統領令が、行政手続き法(APA)に違反すると主張している。
3月に発令された同大統領令は、連邦機関に対し、州政府や州機関を含むすべての請負業者と契約する際、DEIに関連する特定の活動を禁止する契約条項を導入するよう求めている(2026年3月31日記事参照)。同条項は、2026年4月27日までに新規契約へ、7月24日までに既存契約へ適用するよう指示している。契約数では元請けと下請けを合わせ、全米で最大64万件、請負業者数では3万4,000社以上に影響が及ぶ可能性がある。マサチューセッツ州によると、同州だけでも3億ドル超の契約が対象となり得る。
州側は、この新たな契約条項について、内容が曖昧で混乱を招きかねず、既存の反差別法との関係も不明確なまま厳しい罰則が科され得る点を問題視している。また、違反と判断された場合、契約解除や将来の連邦契約からの排除、さらには虚偽請求法に基づく訴訟リスクが生じる可能性があると指摘している。こうした不確実性は、請負業者に過度なコンプライアンス負担を強いるだけでなく、合法的な差別防止や是正の取り組みを萎縮させる恐れがあるとしている。
さらに、連邦機関が大統領令を実施する過程で、連邦調達規則(FAR)で義務付けられるパブリックコメントの実施を省略した点も重大な争点となっている。州側は、連邦機関が法的権限を逸脱し、必要な説明や正当化を欠いたまま規制を導入したとして、APA違反を主張している。
マサチューセッツ州のアンドレア・ジョイ・キャンベル司法長官は声明で、今回の措置について「明確な指針を示さず、混乱と威圧を招く場当たり的な行動だ」と批判し、DEI排除を優先するあまり法的手続きを軽視していると述べた。本訴訟は、裁判所に対し新たな契約条項の適用差し止めと、連邦機関の行為の違法性認定を求めており、今後の連邦調達政策およびDEI関連施策に大きな影響を及ぼす可能性がある。
マサチューセッツ州のほか、提訴に参加したのは、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、コロンビア特別区、ハワイ州、イリノイ州、メーン州、メリーランド州、ミシガン州、ミネソタ州、ネバダ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州、バージニア州、ワシントン州、ウィスコンシン州となっている。
(久峨喜美子)
(米国)
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