欧州委、加盟国のスタートアップエコシステムを評価、エストニアがトップ

(EU、エストニア、スウェーデン、フィンランド、ルーマニア、スロバキア、ブルガリア)

ブリュッセル発

2026年06月04日

欧州委員会は5月29日、EUおよび加盟国におけるスタートアップとスケールアップのエコシステムの成果を評価する「欧州スタートアップ・スケールアップ・スコアボード(ESSS)」(詳細は欧州委ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ESSSは、スタートアップとスケールアップの支援戦略(2025年6月13日記事参照)に基づき策定されたもので、今回が初の発表となる。同戦略の5つの柱に「影響」を加えた6つの柱について、2020年から2025年にかけ、36のパフォーマンス指標に基づき各加盟国のエコシステムを評価している。

今回の発表によると、2020年以降、27の加盟国のうち20の加盟国でエコシステムの成果が向上しており、イノベーション促進型の規制環境、人材・ベンチャーキャピタルへのアクセス、スタートアップとスケールアップの成功との間に直接的な結び付きがあることが示された。一方で資金調達、とりわけ後期段階は、スタートアップおよびスケールアップにとって大きな制約となっている。

こうした中で、首位のエストニア、スウェーデン(2位)、フィンランド(3位)は、36のパフォーマンス指標においてEU平均を大きく上回り、域内で最も成熟したエコシステムを形成していると評価された。エストニアのデジタル・インフラ整備および初期段階の資金調達策、スウェーデンの人材政策および後期段階の資金調達策、フィンランドの研究開発投資の高さと特許活動の活発さの組み合わせによるイノベーションと商業化が一体的に進む政策がエコシステムの活性化につながっていると分析されている。

一方で、エコシステムの成熟度には加盟国間で大きなばらつきがみられる。北欧諸国やベネルクス諸国が高い成果を挙げる一方で、南欧および東欧諸国は大きな潜在力が残されている。特にルーマニア、スロバキア、ブルガリアは、EU平均を大きく下回っている。その背景には、ベンチャーキャピタルなど後期段階での資金調達の困難さ、複雑な規制や行政手続きの負担、頭脳流出などがあると指摘されている。

このほかESSSは、米国や中国に加え、日本や韓国など域外の競合国との比較結果も示している。EUのエコシステムの総評価額は米国の20%、中国の60%にとどまり、国際的な競合と比べ大きな差がみられる。さらに、2025年のGDPに占める総評価額の割合では、EUは最下位の日本に次ぐワースト2位となっている。

(吉沼啓介)

(EU、エストニア、スウェーデン、フィンランド、ルーマニア、スロバキア、ブルガリア)

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