AI普及で水需要増、半導体やデータセンター向け産官学の同盟設置へ

(シンガポール)

シンガポール発

2026年06月25日

シンガポール公益事業庁(PUB)は6月17~18日、データセンターと半導体業界に特化した産業用水ソリューション(IWS)イノベーション・エコシステム同盟の設置に向け、産業界や大学と覚書(MOU)を締結した。人工知能(AI)普及拡大に伴うデータセンターや半導体プラントの設置拡大によって生じる水資源に関する課題について、産官学連携でテクノロジーを活用した解決を目指す。

MOUは、水処理関連の国際イベント「第11回シンガポール国際ウォーター・ウィーク(SIWW2026、6月16~18日)」の一環として開催された、産業用水ソリューション・フォーラムで署名された。PUBのグルデブ・シン最高エンジニアリング・技術責任者はフォーラムで、国内の水需要に占める非家庭用水の割合が現在の55%から、2065年までに3分の2へ拡大すると述べた。データセンターのサーバー冷却や半導体製造工程での洗浄には大量の水が必要となる。AI普及に伴い、データセンターや半導体プラントの設置が加速し、水需要も急拡大する見通しだ。シンガポール水協会(SWA)の理事を務めるチャールズ・ゴー氏は、「水は基本的な公共インフラから戦略物資へと変化している」と強調した。

PUBは6月17日、シンガポール国立大学(NUS)の持続可能な熱帯データセンター・テストベッド(STDCT、注1)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、SWA、テック企業の業界団体「SGテック」と、データセンター向け産業用水ソリューション・イノベーション・エコシステム同盟の設置に向けたMOUを締結した。また、6月18日には、SWA、南洋工科大学(NTU)の分離技術応用研究センター(START)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、シンガポール半導体工業会(SSIA)と半導体向け同盟設置でMOUに署名した。

写真 PUB、SWA、STDCT、SGテックの6月17日のMOU署名式。SWAのゴー氏(左端)、PUBのシン最高エンジニアリング・技術責任者(左から2人目)(ジェトロ撮影)

PUB、SWA、STDCT、SGテックの6月17日のMOU署名式。SWAのゴー氏(左端)、PUBのシン最高エンジニアリング・技術責任者(左から2人目)(ジェトロ撮影)

半導体やデータセンター向け水技術研究に1,200万Sドル

ガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は6月16日、2030年までの研究開発(R&D)5カ年計画「研究・イノベーション・エンタープライズ2030年計画(RIE2030、注2)」の下、産業用水ソリューションの研究開発に向けた初期資金として1,200万シンガポール・ドル(約15億円、Sドル、1Sドル=約125円)を拠出すると発表した。同資金は、半導体ウエハー製造およびデータセンター向けの水利用技術に関する研究へ優先的に投入される予定だ。

(注1)STDCTは、高温多湿の熱帯環境における持続可能なデータセンター技術の開発を目的に、NUSキャンパス内に2023年11月に設置された、NUSとNTUによる検証施設。

(注2)RIE2030は、2026年4月~2030年3月までを対象とする国家R&D振興5カ年計画(2025年12月12日記事参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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