ペルー政府がエルニーニョ現象発生を発表、次期政権の重要課題に
(ペルー)
リマ発
2026年06月18日
ペルー政府は6月12日、国家エルニーニョ現象調査(ENFEN)に関する技術報告書
を公表した。ペルー太平洋沿岸の海水温の変化を基に算出する「沿岸地域エルニーニョ現象指数(ICEN)」の分析により、2026年2月から平年より海水温が上昇するエルニーニョ現象が発生し、5月から海水温の上昇傾向が強くなっていることが明らかになったとしている。
2027年2月までは強いエルニーニョ現象が発生する可能性が50%以上で、その後、徐々に弱まるものの2027年4月まで続くと予想し、土砂災害などへの備えが必要と呼びかける。
水産資源について、海水温の変化に応じてカタクチイワシが通常と異なるかたちで南北方向と東西方向に移動するほか、通常はみられない魚種が出現する可能性があると指摘している。
エルニーニョ現象は農業、水産業、小売業、鉱工業など幅広い産業に影響が及ぶため、これまでもペルー経済にインパクトを与えてきた。これからペルーでは本格的な冬を迎えるが、気温が高いと冬物衣料の販売に影響する。また、エルニーニョ現象の影響が北半球に及ぶと、米国など海外市場向け衣料や農産品の受注・生産減につながる。土砂災害、河川氾濫などで水道、電気、道路や橋などのインフラに影響が及ぶと市民生活や鉱山の操業にも支障がでることがある。
ペルー国家統計情報庁(INEI)の統計によると1996年以降の30年間で実質GDP成長率(通年)がマイナス成長となった年は3回あった。このうち1998年と2023年の2回がエルニーニョ現象によるもので、2020年が新型コロナウイルスによるものだった。
6月7日に実施された大統領選挙の決選投票の集計作業は続いているが、新政権にとってエルニーニョ現象への対策は避けて通れない課題となる。ケイコ・フジモリ候補はエルニーニョ現象に関する公約として、農業分野では自然災害に弱い地域を優先に衛星と遠隔センサーを用いた防災対策を行い、水産分野では政府と国際機関の協調による国営漁業保険制度の創設検討を掲げている。
ロベルト・サンチェス候補は選挙審議会(JNE)に受理された公約(注)で、水道事業、農業、水産業、森林保護、保健の分野で気候変動への適応化と影響緩和の措置を講じることを強調している。
(注)サンチェス氏は決選投票の直前に公約を見直したと発表したが、JNEからは認められていない(2026年6月5日記事参照)。
(石田達也)
(ペルー)
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