世界の2025年の新車販売、4台に1台がEVに、IEA報告

(世界)

調査部国際経済課

2026年05月22日

国際エネルギー機関(IEA)は5月20日、「世界EV見通し2026外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。2025年の世界の電気自動車(EV)新車販売台数(乗用車のみ)は前年比20%増で2,000万台を突破し、過去最高を記録した(注1)。全新車販売台数に占めるEVの比率は25%となり、新車販売の4台に1台がEVとなったかたちだ。

2025年のEV販売台数を主要国・地域別にみると、中国が前年から微増の1,330万台で最多だった。欧州は3割超増加し420万台、米国が前年とほぼ横ばいの153万台だった。中国は、EV下取り制度の一時停止などの影響もあり、成長率は20%未満へと鈍化したが、依然として最大のEV市場となっている。欧州では、2025年からのEUの新車販売における二酸化炭素(CO2)排出基準の引き上げ(注2)が、販売を後押ししたとみられる。米国での減少は、2025年9月以降のEV購入に対する税額控除撤廃などの政策転換により、第4四半期の販売台数が大きく落ち込んだことが影響した。

主要市場だけでなく、新興市場での販売台数も増加している。IEAは特にEV普及の勢いが増す地域として、東南アジアを挙げている。同地域でのEVの年間販売台数は、前年比で2倍以上に増加した。中でも、購入補助などの政策が進むベトナムやタイ、インドネシアでの増加が顕著だった。特に、ベトナムは新車販売台数の約4割をEVが占め、多くの欧州諸国を上回る水準となっている。

一方、2026年第1四半期の世界のEV販売台数は、前年同期比8%減の390万台だった。購入補助金の減額などにより、中国や米国における販売台数が減少したことが要因とみられる。欧州やその他地域では、前年同期より販売台数が増加した。

また、IEAは、中東情勢を受けたエネルギー高騰下での、EVが持つ経済的利点にも言及した。EVは一般的に、内燃機関(ICE)車よりも燃費効率が高いため、ランニングコストが低い。最近の原油価格の高騰が、EVのコスト削減効果をさらに高めているとした。例えば、4月の平均原油価格に基づくと、EUにおけるEV走行による年間の燃料費削減額は、2025年時点の削減額と比べて35%増加しているという。ただし、発注から納車までの期間も考慮すると、現在のエネルギー危機が自動車市場に及ぼす影響が表れるまでには時間を要するとしている。

IEAのファティ・ビロル事務局長は、「EVの普及拡大は、自動車市場とエネルギーシステム全体にとって大きな転換点であり、史上最大の石油供給ショックに見舞われる中で一定の緩和効果をもたらしている」と述べた。さらに、「今後、バッテリー価格の下落と、現在の世界的なエネルギー危機に対する政策対応の可能性が、EV市場にさらなる弾みを与えるだろう」と予測した。

IEAの同見通しによると、2026年の世界のEV販売台数は2,300万台まで到達する見込み。

(注1)バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計。

(注2)EUはCO2排出量について、2025~2029年までに、2021年比で新車販売におけるCO2排出量を15%削減する目標を掲げる。なお、乗用車は2030年までに55%、バンは50%削減し、2035年までにはともに100%削減(いずれも2021年比)を目標としていたが、2025年12月に公表した「自動車パッケージ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」でより柔軟性の高い目標に変更した(2025年12月25日記事参照)。新たな目標では、2035年までにCO2排出量を90%削減し、残り10%の排出量は、EU製の低炭素鋼の使用、またはe燃料やバイオ燃料の使用によって相殺する必要がある。

(熊谷佐和子)

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