メキシコ政府、貿易手続き一括化のデジタル窓口を設置する政令を公布
(メキシコ)
メキシコ発
2026年05月08日
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は5月4日、「貿易手続きのワンストップ窓口(Ventanilla Única de Trámites de Comercio Exterior)を設置する政令」を官報公示した。これは、同日に国立人類学博物館で発表した、投資の促進・確実性向上のための複数の政令・省令の1つだ(2026年5月8日記事参照)。同政令は公布の翌日施行とした。主な内容は次のとおり。
〇新しい「貿易手続きのワンストップ窓口」の定義:
第1条では、貿易通関手続きに関する業務の簡素化・円滑化・追跡を行うことを目指し、経済省、国税庁(SAT)、税関庁(ANAM)などの当局が所管する貿易手続きを一括して受付・処理・管理する、新しい貿易手続きのワンストップ窓口(以下「ワンストップ窓口」)を設置することを定めた。また、複数の所管当局間の情報交換を円滑に行うため、新たに「貿易統一ファイル(注1)」を作成し、提出書類を一元化するとした。
〇デジタル変革・通信庁(ATDT)におけるワンストップ窓口の管理権限:
第3条では、ATDTが貿易手続きのワンストップ窓口の管理・運営・監視機能を担うことを定めた。現在の「貿易手続き単一窓口(VUCEM)」の管理運営権限を有する国税庁(SAT)から、ATDTへワンストップ窓口として権限が移管される(付則第3条)。また、ATDTは貿易関連手続きにおいて、申請者に対する助言や支援を行うほか、所管当局が規定で定められた申請書類のみを要求し、かつ、期限内に承認が行われるよう監督する。違反があった場合はATDTが当該所管当局に通報するとした(注2)。さらに、手続きの全過程において、ATDTがガイダンス、助言、疑問・苦情、照会への対応を行うための仕組みを整備するとし、ワンストップ窓口や貿易統一ファイルに関する苦情、提案、不具合、障害の報告を受付け、対応することを明記した。第12条では、ATDTがサイバーセキュリティーやセキュリティーインシデントに関する管理・監視機能を確立するとしており、情報セキュリティーに関する責任も明記された。
〇ワンストップ窓口の開設日:
付則第4条で、本政令の施行日から起算して15営業日以内に、ATDTはワンストップ窓口を開設するとした。
これまで貿易通関手続きにおいて、複数の当局が管轄しているため、VUCEM上の問題を解決できない事例があったが、今回の改正によりATDTが管理することで、ワンストップ窓口のシステム変更が可能となることが期待される。一方で、ATDTへの過度な権限移譲や、新しいワンストップ窓口への移行中における申請が遅延や未審査となることを懸念する声もある。
(注1)「貿易統一ファイル」とは、自然人または法人に関連付けられた一連のデジタル文書で、貿易当局が手続き、サービス、許認可申請を処理するために利用することができるものと定義されている(同政令第2条)。そのため、ワンストップ窓口上で申請者が申請した書類を一元化し、審査する所管当局が一度に確認できるようにするための申請書類一式のことを指している。
(注2)ATDTは貿易手続きのワンストップ窓口の管理運営を担うものの、第5条II項では、貿易手続きのワンストップ窓口で申請された各種手続きの承認は現行法に従うと定めており、担当する当局が現行法の期限に沿って承認する。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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