カナダ政府、米国の関税措置調整を受け、鉄鋼・アルミ・銅関連産業向けの支援策を発表
(カナダ、米国)
トロント発
2026年05月08日
カナダの革新・科学・経済産業省は5月4日、米国による鉄鋼、アルミニウム、銅を含む製品に対する関税措置の調整を踏まえ、関税の影響を受けてきた国内の関連産業に対する総額15億カナダ・ドル(約1,723億円、Cドル、1Cドル=約114.9円)規模の新たな支援策を発表
した。
今回の支援策は、米国が2026年4月6日から施行した1962年通商拡大法232条に基づく追加関税措置の関税率変更(2026年4月3日記事参照)を念頭に、事業環境に大きな影響を受けている、鉄鋼、アルミ、銅をはじめとする戦略的産業の企業が対象となる。カナダ政府は、これらの産業が新たな国際競争環境に適応し、成長を続けられるよう、緊急性をもって対応すると説明した。
支援策の柱の1つは、カナダ事業開発銀行(Business Development Bank of Canada:BDC)による10億Cドル規模の新たな金融プログラムの創設だ。同プログラムは、鉄鋼、アルミ、銅を含有する製品を製造・輸出する産業のうち、これらの金属が製造プロセスにおいて重要な要素として使用され、関税措置の影響を受けている企業が対象となる。カナダ連邦政府は、有利な条件での資金供給を通じ、企業が当面の資金繰りの圧迫に対処できるようにするとともに、中長期的な事業転換や競争力強化に取り組めるよう支援するとしている。
2つ目の柱として、地域関税対応イニシアチブ(Regional Tariff Response Initiative:RTRI)への5億Cドルの追加拠出も発表された。RTRIは、カナダ連邦政府が各地域に設置している経済開発機関(Regional Development Agencies:RDA)を通じて実施され、中小企業を含む幅広い関税の影響を受けた企業を支援する。追加資金は市場多角化や生産性の向上、戦略的事業転換に向けた投資を後押しし、地域経済の強靱(きょうじん)化を図ることが目的となる。
これを受けて同日、カナダ鉄鋼生産者協会(Canadian Steel Producers Association:CSPA)は政府による財政支援の発表を歓迎する声明を公表した。鉄鋼メーカーのみならず、カナダ産の一次鉄鋼を使用して多様な製品を製造する下流企業にとっても重要であると指摘した。一方で、事態の緊急性が高まっているとして、国内市場向けにはバイ・カナディアン(Buy Canadian)をさらに進め、外国製鉄鋼関連製品に対するさらなる関税措置の強化を政府に求めた。
(井口まゆ子)
(カナダ、米国)
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