青島で「出海連盟」設立式が開催、中国の対外投資拡大で

(中国)

青島発

2026年05月19日

青島市国際貿易促進委員会は5月12日、山東省青島市で「青島貿促出海連盟」設立式および「青島企業出海」研修交流会を開催した。同連盟は官民のリソースを統合し、経済貿易情報、政策相談、商事法務など多様なサービスを提供する総合支援プラットフォームとして機能し、地元企業の海外展開(いわゆる「出海」)を支援することを目的とする。

山東省内では企業の海外展開支援体制の整備が相次いでいる。2024年9月には山東高速集団(注1)が主導する省レベルの「山東省対外投資合作協同発展連盟」が済南市で発足し、同年11月には「濰坊(イホウ)市企業走出去連合会」(注2)が会員数241社で設立された。今回の青島市の連盟設立もこうした流れを受けたものだ。

交流会では、中国国際貿易促進委員会の盧寧・発展研究部副部長が講演し、中国企業の対外投資は2000年以降拡大し(注3)、2016年ごろにピークを迎えた後、構造調整を経て近年再び拡大傾向にあると説明した。2024年の中国の対外直接投資額は1,922億ドル(前年比8.4%増)で米国、日本に次ぐ世界第3位の規模(2025年9月17日記事参照)であり、同年末時点で海外の現地法人は世界190カ国・地域に約5万2,000社、海外資産は9兆ドルを超える。さらに、2025年には対外直接投資(1,744億ドル)が対内直接投資(1,069億ドル)を上回ったことを紹介し、国際化については「アウトバウンド主導の新段階に入った」との見方を示した。また、国連貿易開発会議(UNCTAD)の海外経営指数(注4)では、中国トップ100企業の平均は10~15%程度にとどまり、成長余地が大きいとした。

海外進出の背景には、市場開拓や資源確保のほか、貿易摩擦激化やサプライチェーン再編に伴う東南アジアなどへの投資拡大、「チャイナ・プラス・ワン」への対応、コスト差による生産移転、サプライチェーン企業の連鎖進出が挙げられる。一方で、進出先では政治・為替・治安リスクや税務・労働規制などのコンプライアンスが主要課題だ。盧氏は「海外展開しなければ生き残れない」との企業の危機感が高まっていると指摘した。

今回の連盟設立もこうした支援強化の一環で、創設メンバーの平安財産保険青島分公司の謝有強・副総経理は、同社が2025年時点で累計670億元(約1兆5,410億円、1元=約23円)超の海外資産リスク保障を提供しているとし、出海企業向け保険体系のさらなる整備を表明した。謝氏は「保険はリスク分散の手段であり、海外進出する際の自信の礎となる」と述べ、専門機関による伴走の重要性を強調した。

中国企業の海外展開は量的拡大から質的転換に入りつつある。進出先や調達先の変化は日本企業のサプライチェーンやビジネス環境にも影響し得る。今後も動向の注視が必要だ。

写真 盧寧・発展研究部副部長の講演(ジェトロ撮影)

盧寧・発展研究部副部長の講演(ジェトロ撮影)

(注1)山東高速集団は山東省最大級の国有企業グループで、交通インフラ事業を中心に海外で幅広く事業を展開するなど、同省企業の海外展開を牽引している。

(注2)走出去は中国語で「海外進出」を意味し、中国政府による企業の海外展開政策を指す言葉として用いられている。

(注3)2000年10月11日に、中国共産党第15期中央委員会第5回全体会議で採択された「国民経済と社会発展のための第10次5カ年計画の策定に関する中央委員会の提案」において、「海外進出(走出去)」戦略が打ち出され、同年が中国の対外投資「元年」とされる。

(注4)海外売上比率、海外資産比率、海外従業員比率を指標とした多国籍企業の国際化度を示す基準。グローバルトップ100企業の平均は60〜70%とされている。

(皆川幸夫)

(中国)

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