米デル、デラウェア州からテキサス州への法人登記移転を計画

(米国)

ヒューストン発

2026年05月18日

米国IT機器製造・販売大手のデル・テクノロジーズは5月4日、法人登記をデラウェア州からテキサス州へ移転する計画を取締役会で全会一致で承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。最終的には6月25日の株主総会で決定される見込みだ。

同社はテキサス州オースティンで1984年に創業し、現在は同市近郊のラウンドロックに本社を置いており、経営陣や従業員の多くが同州に所在する。今回の移転は、こうした実態に合わせて法的本拠地を一致させる狙いで、事業運営や従業員配置への影響はないとしている。創業者マイケル・デル氏らが議決権の大半を保有しており、株主総会での承認は成立する可能性が高いと見込まれる。

デル氏はテキサス州ヒューストン出身で、テキサス大学オースティン校在学中にパソコン機器の製造・販売を始め、会社を立ち上げた。今回の決定について「創業以来のテキサスとの深い関係を反映するもの」と強調している。

テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)はX(旧Twitter)に、「Welcome Home, Dell(おかえり、デル)」と投稿してテキサス州への回帰歓迎の意を示し、同州のビジネス環境の成果を強調した。

企業の法人登記先として優位に立ってきたデラウェア州から他州へ移る「Dexit(デグジット、デラウェア離れの意)」と言われる法人登記見直しの動きについては、2026年3月のエクソンモービルなどの事例のとおり(2026年3月12日記事参照)、近年広がりを見せる。今回のデルの決定にも、過去の大規模な株主訴訟(注)など、訴訟コストや制度面への懸念が背景にある。

(注)デルは2016年のEMCの買収資金確保のため、EMC買収によって取得したクラウド・仮想化ソフトを提供するブイエムウェア(VMware)の企業価値に連動するトラッキング株を発行。2018年に再上場を目指し、同トラッキング株を、デルのクラスC普通株式と現金、合計約239億ドル規模で買い戻した。デルの経営陣や支配株主のシルバーレイク・パートナーズが、トラッキング株主に不利な低価格で取引を行ったとして、デラウェア州衡平法裁判所に集団訴訟が提起されたが、2022年に約10億ドルで和解した。原告側弁護士報酬は約2億6,700万ドル(和解金10億ドルのうち26.7%)と、株主訴訟和解として過去最大級だ。

(キリアン知佳)

(米国)

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