富士フイルム、米ウィスコンシン州で新たなiPS細胞開発・製造拠点を開所

(米国、日本)

シカゴ発

2026年05月25日

富士フイルム(本社:東京都港区)は5月19日、米国ウィスコンシン(WI)州マディソン市内において、富士フイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI)の新本社開所式を開催した(注)。会場には、トニー・エバース州知事(民主党)をはじめ、州・市政府、大学、経済界、日米関係者ら約80人が参加した。

FCDIは、ウィスコンシン(WI)大学マディソン校の幹細胞研究を起源とする米バイオ企業セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI)を前身とし、iPS細胞を活用した新薬開発支援、毒性試験、細胞治療・再生医療向け開発製造などを手掛ける。富士フイルムは2015年に同社を買収して以降、ライフサイエンス事業の重要拠点として事業拡大を進めてきた。

式典には、ライフサイエンス領域を統括する富士フイルムの飯田年久取締役・執行役員、富士フイルムホールディングス・アメリカの中島研也社長、長谷川知行・FCDI社長などが出席した。

飯田氏は、写真フイルム事業からライフサイエンス領域へ大胆な事業転換(トランスフォーメーション)を進めてきた同社の歴史を紹介した上で、富士フイルムが2011年以降、バイオCDMO(医薬品製造受託機関)事業へ100億ドル超を投資してきたと説明。「iPS細胞分野において極めて重要なタイミングで本施設が完成した」と述べた。また、長谷川氏は、CDI創業以来20年以上にわたりマディソン地域を拠点としてきた経緯に触れ、WI大学マディソン校、WI大学同窓会研究財団(WARF)、WI州経済開発公社(WEDC)などとの連携が同社の成長を支えてきたと説明。「幹細胞研究を実際の臨床インパクトにつなげるパートナー支援を強化したい」と述べた。

エバース知事は、FCDIを「WI州が誇る産学官連携モデルの成功事例」と位置付けた。特に、WI大学マディソン校の幹細胞研究を起点に、大学研究、州政府支援、企業投資、国際連携が一体となって産業化へ発展した経緯を紹介した。さらに、同州が連邦政府よりバイオヘルス・テックハブ指定を受けていることにも触れ、「こうした世界最先端のイノベーションがマディソン、そしてWI州で生まれていることを誇りに思う」と述べた。

今回の開所式では、大学研究成果を州政府・企業が連携して産業化し、グローバル投資へつなげる「ウィスコンシン型産学官連携モデル」が繰り返し強調された。ジェトロとしても、WI州のライフサイエンス分野に着目し、州・市政府、大学、企業などとの連携強化を進めている(2025年11月14日記事参照)。

写真 エバース知事あいさつ(ジェトロ撮影)

エバース知事あいさつ(ジェトロ撮影)

写真 テープカットの様子(ジェトロ撮影)

テープカットの様子(ジェトロ撮影)

(注)今回開設された新施設は、約17万5,000平方フィート(約1万6,260平方メートル)の規模を有し、細胞培養製造ラボ、プロセス開発ラボ、遺伝子編集センターなどを備える。2023年に発表された、富士フイルムによる総額2億ドル規模の戦略投資の一環であり、iPS細胞関連製品・サービスの生産能力を4倍規模へ拡張する計画だ。さらに、治験薬製造から商業生産まで対応可能な拡張性を備え、将来的な細胞治療CDMO需要拡大も見据える。

(井上元太、ケリー・ハイランド)

(米国、日本)

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