米フォード、エネルギー貯蔵システム製造会社の設立を発表

(米国)

シカゴ発

2026年05月14日

米国自動車メーカーのフォードは5月11日、約20億ドルを投資し、同社の完全子会社フォード・エナジーを設立することを発表した。フォード・エナジーは、米国内で組み立てられたバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を電力会社、データセンター、大規模な産業・商業分野の顧客向けに提供する予定。年間20ギガワット時(GWh)以上の生産規模を目指し、納入開始は2027年後半の見込みだ。同社は、電池セル製造(電極コイルの生産を含む)からモジュール・コンテナ組み立て、販売・サービスまでを一貫して行う。なお、製造は、もともとフォードが韓国のSKグループとの合弁事業(注)の下で電気自動車(EV)用バッテリー生産のために建設した、ケンタッキー州グレンデールのEV用バッテリー工場で行う。

フォードは、今回の会社設立について、米国でのデータセンター建設ラッシュによる需要拡大や再生可能エネルギーの導入、電力網の安定性向上の必要性から、信頼性の高いエネルギー貯蔵の需要が拡大していることに対応するためとしている。一方、同社は2025年通期決算のEV関連分野で大きな損失を計上しており(2026年2月17日記事参照)、ケンタッキー州の既存のバッテリー製造施設をエネルギー貯蔵システム向けに転用することによって同部門での損失の拡大を防ぐとみられている(オートモーティブニュース電子版2026年3月6日)。

エネルギー貯蔵システム分野では、LGエナジーソリューション、レッドウッド・マテリアルズ、テスラといった大手企業がすでに参入しており、フォード・エナジーは今後これらの企業との競争が激化するとみられる(オートモーティブニュース電子版3月6日)。

同社の主力製品である「フォード・エナジー DCブロック」は、液冷式熱管理や高度な電池管理システムを備えており、同社は512Ah(アンペア時)のリン酸鉄リチウム(LFP)角形セルを用いた20フィートコンテナ型蓄電システムを製造する。この製品は、顧客が重視する電池寿命の予測可能性、メンテナンスの容易さ、熱安定性を重視し、20年間の性能維持を目標として設計されているとしている。

(注)両社は2025年12月に合弁解消を発表している。

(星野香織)

(米国)

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