成都市、デジタルコンテンツ産業の人材育成を支援する優遇政策「ナタ十条」を発表
(中国)
成都発
2026年05月28日
中国四川省成都市は5月20日、深セン市で開催された第22回中国(深セン)国際文化産業博覧交易会において、デジタルコンテンツ産業の人材育成・誘致を体系的に支援する「成都市における『哪吒(ナタ、注1)』行動によるデジタル文創人材発展支援十条政策」(以下、ナタ十条)を発表した。
成都市はこれまで、デジタルコンテンツ分野の発展を支援する政策を段階的に整備し、関連企業が集積する産業基盤を形成してきた(2026年2月24日付地域・分析レポート参照)。今回のナタ十条は、既存の政策体系を踏まえつつ、人材に焦点を当ててさらに深化させたもので、オリジナルコンテンツ創出力の強化と国際競争力の向上を目的としている。今回発表された施策は、大きく次の4分野に整理される。
- 多角的な人材評価システム・人材誘致:給与、職位、業績、受賞実績、投資実績などを基準とし、人材をグレード別に認定した上で、グレードに応じた支援を行う。業界をリードするトップ人材に対しては、最大300万元(約7,120万円、1元=約23.73円)の助成を行うほか、デジタルコンテンツ分野のスタートアップ企業についても、伴走型支援を実施する。
- エコシステムの強化:「1人会社(注2)」への支援を打ち出すとともに、人工知能(AI)コンピューティングリソースなどに対する補助を実施する。また、金融機関とも連携し、デジタルコンテンツ関連企業に対して最大2,000万元の融資枠を提供するなど、資金調達環境の改善を図る。
- 協調的イノベーション:産学連携の深化を通じて、人材育成と技術成果の産業化を推進する。「中試人材(注3)」の育成に取り組むとともに、国内外の著名な賞を受賞した作品に対し、成果に応じた奨励を行う。
- 生活・サービス保障:若手人材を対象に、就職・起業時の一時滞在用住居を提供するほか、新規で誘致したデジタルコンテンツ人材に対し、月額3,000元(最長3年)を上限とする住宅補助を支給する。また、認定人材に対しては、各種優遇政策の案内や行政手続きを一体化した「人才碼(注4)」を導入し、利便性の向上を図る。
このほか、毎年100件以上のデジタルコンテンツ・イノベーション分野におけるビジネスマッチング案件などをまとめた「都市機会リスト(注5)」を公表するなど、資金面の援助だけでなく、具体的なビジネス機会の創出にも力を入れた政策となっている。
(注1)成都発のデジタルコンテンツ産業を代表する中国産アニメ映画「ナタ」シリーズの主人公の名前に由来する。新華網(日本語)4月11日の記事によると、シリーズ2作目の「哪吒(ナタ)魔童の大暴れ」は世界歴代興行収入ランキング4位を記録している(2026年4月時点)。
(注2)OPC(One Person Company)とも呼ばれ、1人または数人がAIツールを活用して設立する小規模企業を指す。
(注3)研究段階と量産段階の間に位置する実証段階を「中試」といい、「中試人材」とは実証段階を担う専門人材を指す。
(注4)成都市が認定した人材に発行されるパスで、該当人材が受けることのできる補助・優遇制度をAIが提示し、行政手続きを行うことのできる2次元コード型の人材パス。
(注5)成都市が公表する、特定分野における実証実験やビジネスマッチングなどの機会をまとめたリスト。
(黒木亮佐)
(中国)
ビジネス短信 94123428954765c7





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