欧州委、鉄道チケット市場の競争促進と旅客権利強化を盛り込んだ政策パッケージを発表
(EU)
ブリュッセル発
2026年05月20日
欧州委員会は5月13日、長距離や国境を越えた移動における鉄道利用の促進に向け、鉄道の利便性向上と旅客の権利強化を目的とする政策パッケージを発表した(プレスリリース
)。同パッケージは、鉄道チケットの販売方法に関する法案、旅客補償に関する法案、鉄道、航空、バスなどの異なる輸送手段の組み合わせを促進するための法案からなる。
EUでは、域内の鉄道における国内・国際旅客サービスの自由化が進められており、他の加盟国の鉄道事業者や新規事業者による参入が可能となっている(2021年5月17日付地域・分析レポート参照)。一方で、チケット販売については、各加盟国の国営鉄道会社などの従来の主要事業者が、一般的に利用されるチケット検索・予約・販売のオンライン・プラットフォームを運営しており、新規参入事業者にとって不利な状況が生じている。
こうした状況を踏まえ、法案はまず、鉄道事業者に対し、自社チケットの販売を希望する他社運営のオンライン・プラットフォームに対して必要な情報を提供し、その販売を認めることを義務付ける。また、鉄道旅客市場でシェア50%以上を有する既存事業者が運営するオンライン・プラットフォームについては、自国内で利用可能な全ての列車を表示し検索結果に含めることや、競合他社を含め他事業者から要求があった場合には、当該事業者のチケットも販売することを義務付ける。さらに、オンライン・プラットフォームを含むチケット販売事業者に対しては、選択肢となるチケットの中立的な表示などが求められる。これにより、利用者は複数のチケットを容易に検索、比較し、購入することが可能となり、チケット市場の公平な競争を促進する。
加えて、単一チケットを利用する旅客の権利も強化される。複数の事業者が運行する列車を乗り継ぐ単一チケットを有する旅客は、列車の遅延や運休により接続列車に乗り継げなかった場合、支援、払い戻し、代替経路の提供、補償といった保護を受けることができる。本来単一のチケットとして販売可能な旅程を複数の別個のチケットとして販売することも、原則として禁止される。
法案は今後、EU理事会(閣僚理事会)および欧州議会で審議される。
(吉沼啓介)
(EU)
ビジネス短信 8f5c6545c6d851d8





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