4月CPI上昇率、前年同月比7.2%、燃料費高騰とペソ安が影響
(フィリピン、中東)
マニラ発
2026年05月18日
フィリピン統計庁(PSA)は5月5日、2026年4月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が前年同月比7.2%に達したと発表した(添付資料図参照)。2023年3月に7.6%を記録して以来、3年ぶりの高水準となった。フィリピン中央銀行(BSP)の予測(5.6~6.4%)およびインフレ率目標(2.0~4.0%)をいずれも上回った。
PSAは、4月のインフレ率上昇の主因として、価格変動の大きい「食品およびノンアルコール飲料」が前月の2.9%から6.0%に急上昇したことを挙げた。また、「輸送」は9.9%から21.4%、「住宅、水道、電気、ガス、その他の燃料」は4.7%から8.2%に上昇した。中東情勢の影響による燃料費の高騰が食料品や輸送費の価格上昇圧力として懸念されていたが、その影響は予想を上回った。
PSAのクレア・デニス・マパ長官は、ペソ安もインフレ率上昇の一因であると指摘した。ペソ安の進行により、ドル建てで価格設定されるディーゼルやガソリン、輸入原材料などの価格が上昇したと説明している(5月6日付「ビジネス・ワールド」紙)。
さらに、ユニオン・バンク・オブ・ザ・フィリピンのチーフエコノミストであるルーデン・カルロ・アスンシオン氏は、「フィリピン政府はエネルギー支援策(注)を講じているが、その効果は食料価格の上昇圧力を相殺するには不十分」とし、5月のインフレ率がさらに上昇する可能性を指摘した。地場のチャイナバンク・リサーチのエコノミストも同様の見解を示し、インフレ率は2026年の大半で7%を超え、年平均でも少なくとも6%に達すると予測し、2027年もBSPの目標を上回る可能性が高いとしている。また、インフレ対策としてBSPによる追加利上げを見込む一方で、「高止まりするインフレは、消費や経済成長の重しとなり、積極的な金融引き締めの余地を制限する」と指摘した(5月6日付「インクワイアラー」紙)。
BSPは4月23日の金融政策決定会合で政策金利を4.5%に引き上げ、約2年間続いた金融緩和政策を終了、金融引き締めに転じた。次回の会合は6月18日に予定されている。
(注)フィリピン政府は3月24日、中東情勢の影響を受けて「国家エネルギー非常事態」を宣言した。燃料費価格高騰の対応策として、ディーゼル燃料などの備蓄のための予算投入や、首都圏の鉄道運賃の半額化、公共交通機関の運転手への補助金支給などを実施している(2026年3月31日記事参照)。
(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)
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