中国米国商会白書、貿易体制の安定や一貫性のある政策実施を米中両国に提言
(中国、米国)
北京発
2026年05月01日
在中国米国企業などで構成される中国米国商会は4月23日、2026年版白書を発刊した。白書には、在中国米国企業が直面する課題や、米中両国政府に対する建議が盛り込まれている(注1)。
同商会のジェームズ・ジマーマン(James M. Zimmerman)会長は、商会の会員企業は、中国がより開かれた、かつ予測可能なビジネス環境に向けて引き続き前進することを期待しており、透明性や内国民待遇などに関する中国の約束が全面的に履行されることを求めていると説明した。また、米中間の長年にわたる貿易不均衡問題、特に中国による巨額の貿易黒字を是正することは、全世界の貿易体制の長期的な安定の維持や信頼の回復にとって重要であると指摘した。
白書では、2026年の政策建議の重点として、次の5点を挙げた。
- 米中貿易および米中関係
- 政策の明確性と執行の一貫性
- 公平な市場参入および平等な待遇
- 民間交流および政府間交流
- 消費と国内市場の回復
1.については、関税の引き上げや輸出管理の範囲拡大、双方の政策において予見性が低いことが、商会の会員企業にとって最大の懸念事項であるとした。その上で、輸出管理措置や追加関税措置については、国家安全保障面で真に重要とされる分野にのみ適用するべきと提言した。
2.については、国家レベルの政策の方向性と、省や市レベルの実際の政策実施状況が乖離(かいり)しているとした上で、中国国内各地における一貫した政策実施の強化を提言した。
3.については、政府調達、監督・管理、データガバナンス、知的財産権保護などの分野において、公平な競争参加の面で障壁があるとした上で、上記分野の競争参加における公平性の確保を提言した。
4.については、両国間のハイレベル交流については前向きな兆しがみられる一方、実務レベルでの政府間連携や民間交流は、依然として新型コロナウイルス感染症の拡大前の水準に遠く及ばないとした。その上で、実務面におけるさまざまなレベルでの直接交流を促進するほか、両国のビジネス関係者および専門家が往来する際の利便性向上などを提言した。
5.については、中国経済の減速が在中国米国企業にとっての最重要課題であると指摘した上で(注2)、中国政府による国内消費の振興や、市場原理に基づく価格設定の支援などを提言した。
(注1)中国米国商会による白書は今回で28版目となる。2026年版白書は200人を超える会員企業の代表により作成されており、主な構成は次のとおり。
- 産業政策や市場アクセスに関する10の章:競争法、コンプライアンス、税関、政府調達、ハイテク分野の貿易や輸出管理、人的資本、知的財産権、投資政策、税務、ビザ
- 業界特有の問題に関する20の章:農業、自動車、化粧品、食品・飲料、ヘルスケア、情報通信技術(ICT)など
- 中国の地域別に焦点を当てた5つの章
(注2)中国米国商会が2025年10月から11月にかけて実施した在中国米国企業を対象としたビジネス上の課題に関するアンケートでは、2026年の中国事業における課題について、64%の企業が「中国経済の減速」と回答し、全回答項目の中で1位だった。「米中関係の緊張の高まり」(58%)、「現地国有・民間企業との競争激化」(31%)、「業界における生産過剰」(30%)、「法律・法規執行の不一致」(26%)などが続いた(2026年1月22日記事参照)。
(西島和希)
(中国、米国)
ビジネス短信 7d6cf97afedae309





閉じる