ウクライナ最大規模のブックフェスティバルで日本のマンガが存在感
(ウクライナ)
キーウ発
2025年10月02日
ウクライナ最大規模のブックフェスティバル「本の国(クニシコバ・クライナ)」が9月25日から28日にかけて、首都キーウの国立博覧センター(VDNG)で開催された。日本のマンガ「ベルセルク」のウクライナ語版が初披露されるなど、会場では日本のマンガが大きな存在感を示した。
主催者の29日の発表によると、4回目の開催となった今回のイベントには9万3,098人が訪れ、4月の前回より2万人以上増加した。来場者の平均年齢は26歳で、94%が書籍を購入した。イベントには出版社90社、書店10社、作家15人が出展したほか、講演会やサイン会など452のプログラムが開催された。
「ベルセルク」「葬送のフリーレン」「チーズスイートホーム」など日本のマンガのウクライナ語版を手がける出版社「ナーシャ・イデア」の担当者に話を聞いたところ、「ウクライナでは、10~15年前まではマンガやアニメは幼稚なものと見なされていたが、徐々に一般の人々にも受け入れられるようになり、今では流行の一部となっている」という。さらに、同社のグレゴリー・ペロン編集長は「かつては海賊版もみられたウクライナだが、最近は正規版でないと流通しにくくなっており、市場として成熟してきた」と述べた。
日本のマンガを展示する出版社(ともにジェトロ撮影)
会場では、これまで欧米文学を中心に展開してきた出版社も、新たにマンガ市場に参入し始めた点が目を引いた。出版社「ラボラトリア」は同社初のマンガとして「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の出版を開始し、「アートブックス」は「進撃の巨人」「四月は君の嘘」「FAIRY TAIL(フェアリーテール)」の出版を開始、または予定している。「アートブックス」の担当者は「マンガのラインアップ拡充に大きな可能性がある」と述べ、さらなる作品のライセンス取得に意欲を示した。
会場では、太宰治や有川ひろ、夏目漱石、国木田独歩など、日本の作家のウクライナ語版書籍の展示・販売も行われていた。
第5回「本の国」は2026年4月23~26日に開催される予定。
(坂口良平、ダリア・カラペトロバ)
(ウクライナ)
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