米国関与のガスパイプライン建設プロジェクト協定にクロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナが署名
(クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、米国、中・東欧)
海外ビジネスサポートセンターサステナブルビジネス課
2026年05月29日
米国エネルギー省のクリス・ライト長官は4月28日、三海域イニシアチブ(3SI)第11回首脳会合(2026年5月15日記事参照)に戦略的パートナーとして参加し、欧州における米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大を目的とした「トランプ平和パイプライン・フレームワーク(Trump Peace Pipelines Framework)」の立ち上げを発表した。米国は中・東欧諸国のエネルギー・インフラプロジェクトへの関与を強めることで、同地域における米国産LNGの輸入キャパシティ拡大を狙う。
また同発表では、同フレームワークの具体的な案件として、米国勢が関与するプロジェクトにも言及している。クロアチアのアンドレイ・プレンコビッチ首相とボスニア・ヘルツェゴビナのボリャナ・クリシュト閣僚評議会議長は同日、両国をつなぐガスパイプライン建設プロジェクト「南部相互接続ガスパイプライン(Southern Interconnection Gas Pipelines)」に関する協定に署名した。ボスニア・ヘルツェゴビナ政府は同署名に先立ち、同国におけるパイプライン開発・運営企業として米国のAAFSインフラストラクチャ・アンド・エナジーを選定していた。米国は同社参加を前提とした両国間での同署名を支持するとしている。
3SI首脳会合にはライト長官とともに、米国からアリソン・フッカー国務次官(政治担当)も参加していた。3SIのビジネスフォーラムにパネラーとして参加した同国務次官は、「エネルギー安全保障はすなわち国家安全保障である。米国政府はサプライチェーン強靭(きょうじん)化を進めており、エネルギーの相互接続に注力している。南部相互接続ガスパイプラインに関する今回の署名は非常に重要な意味を持つ」、「米国政府を代表してライト長官が本会合に参加していることは、米国が政府を挙げてこの地域(中・東欧)の取り組みを支援していることの証である」と述べ、米国政府の立場を説明した。
パネルディスカッションに参加したフッカー国務次官(写真中央、ジェトロ撮影)
ボスニア・ヘルツェゴビナは現在、東隣のセルビアから中央部まで東西に延びるパイプラインを使ってロシア産ガスを輸入している。同プロジェクトで新たに建設されるパイプラインはアドリア海につながる南部から中央部に南北に延びるルート(注)。米国産LNGはクロアチア北部クルク島にあるLNGターミナルまで船で運ばれるが、そこから同国南部まではすでにパイプラインでつながっている。今回のプロジェクトでクロアチア南部からボスニア・ヘルツェゴビナ中央部までパイプラインが延びれば、米国産LNGをボスニア・ヘルツェゴビナに輸出することができるようになる。
(注)EUは2020年、南部相互接続ガスパイプラインプロジェクトを「西バルカン経済投資計画」の支援プロジェクトの1つに含めている。
(古川祐)
(クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、米国、中・東欧)
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