オーストラリア、燃料・肥料安全保障の強化で107億豪ドルの措置を予算案に盛り込む
(オーストラリア)
シドニー発
2026年05月12日
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は5月6日、燃料や肥料の安全保障を確保するため、来週発表予定の連邦予算案に、107億オーストラリア・ドル(約1兆2,412億円、豪ドル、1豪ドル=約116円)規模の「オーストラリア燃料安全保障・強靭(きょうじん)化対策パッケージ」を盛り込むと発表した(オーストラリア政府メディアリリース
)。
既出メディアリリースによると、同パッケージでは、(1)燃料および肥料の供給・貯蔵能力の拡大に向けて財政的支援を行う枠組み「燃料・肥料安全保障ファシリティー」への75億豪ドル(約8,700億円)の充当、(2)約10億リットル分の燃料備蓄拡大に向けた、政府所有の「オーストラリア燃料安全保障備蓄」の設立に32億豪ドル(約3,712億円)を充当する措置、(3)州および準州と共同で実施する燃料精製能力の拡大に関する実現可能性調査への1,000万豪ドル(約12億円)の支援が含まれる。また、民間供給業者に課されている燃料の最低保有義務(注)について、10日分の追加確保に取り組むため、4年間で3,470万豪ドル(約40億円)の予算を措置する。
既に「燃料・肥料安全保障ファシリティー」の資金の一部は、政府系の輸出金融公社(EFA)を通じて、燃料の輸入支援制度に活用されている(2026年4月21日記事参照)。同制度により、これまで約4億5,000万リットルのディーゼル燃料、約1億リットルのジェット燃料が追加確保されており、今後も活用の拡大が見込まれる。また、これまで民間保有に依存してきたオーストラリアの燃料備蓄制度に、国家備蓄が導入されることは、同国の燃料安全保障政策の枠組みを大きく転換するものといえる。クリス・ボーウェン気候変動・エネルギー相は、「国家備蓄は、政府の指示により、燃料不足が生じた地域に供給できる仕組みとして整備され、迅速な対応が可能になる」と説明している。
(注) 一定量の燃料を取り扱う精製業者および輸入業者に対して、主要な輸送用燃料(ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料)の最低備蓄義務を課す制度。義務的備蓄量は燃料によって異なるが、合計で20~32日分の備蓄が義務付けられている。
(渡部卓人)
(オーストラリア)
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