中国CATLが新たなラインでのバッテリーモジュール生産拡大開始

(ハンガリー、中国)

ブダペスト発

2026年05月21日

中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は5月6日、ハンガリー東部のデブレツェン市に建設した新工場棟において、バッテリーモジュールの組み立てを開始した。複数の現地メディアが12日に報じた。同施設は全ての必要な行政許可を取得しており、年間5ギガワット時(GWh)の生産能力を有する新ラインが稼働を開始した。

モジュール生産自体は2024年秋からデブレツェンの賃借工場にて2ライン体制で実施されており、これまでに累計24万個のモジュールが生産された。これは欧州各地で走行する6万台の電気自動車(EV)に搭載されている。今回の新棟稼働により、モジュール組み立ては合計3ラインに拡大した。

なお、より重要なバッテリーセル製造については、必要な行政許可取得の遅延により、現時点でも生産開始の見通しは立っていない。当初は2025年12月の生産開始が計画されていたが、工場操業に必要な環境許可の取得が難航し、2026年3〜4月への延期を余儀なくされた経緯がある。ただ、最初のセル製造工場の建屋はすでに完成しており、インダストリー4.0(注)対応の生産設備の設置も完了していると現地報道は伝えている。

デブレツェン工場は3段階でバッテリーセル製造からモジュール組み立ての一貫生産拠点となる計画で、年間100GWhの生産能力を目指す。セル製造の本格稼働が実現すれば、アジア産(特に中国産)バッテリーへの依存低減を目指す欧州自動車産業のサプライチェーンにとっても、戦略的意義が高い供給拠点となる可能性があると報道されている。

CATLは自社の取り組みについて、高性能かつ安全な車載バッテリーの需要を高めている欧州自動車産業に対して、革新的な高性能・長寿命のバッテリー製品を供給しており、絶えず進化する製品ポートフォリオを、欧州市場のニーズに合わせて継続的に刷新していると説明している。

一方、同プロジェクトをめぐっては近年ハンガリー国内において、水資源の消費、環境リスク、そして中国資本の台頭などを理由に、政治的・社会的にデリケートな議論が続いている。

4月29日には、その後5月12日に発足した新政権の経済・エネルギー相に就任したカピターニ・イシュトバーン氏(2026年5月18日記事参照)が、CATLの現地代表者らと面談した。同面談では、法令順守に加え、透明性のあるコミュニケーションが事業運営に対する社会的信頼を築く上で不可欠であるという点で双方が合意した。

(注)モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)を活用して、製造プロセスをデジタル化・自動化することを目指す技術コンセプト。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、中国)

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