英国、「自国主導AI」強化計画を発表、AIスタートアップ支援先追加

(英国)

ロンドン発

2026年05月12日

英国のリズ・ケンダル科学・イノベーション・技術相は4月28日、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)で演説を行い、英国の国家安全保障および経済力にとって不可欠な「自国主導の人工知能(AI)」を強化する計画を明らかにした。

ケンダル氏は、世界のAI計算能力の70%が現在わずか5社(注1)のAI企業に掌握されていると指摘し、自国のAI分野を強化し、他国と協力しなければ、同分野での競争で後れを取るリスクがあるとの懸念を示した。英国がAI分野で「真の影響力」をもつためには、 より多くの英国のAI企業を支援する体制や特に中堅国をはじめとする国際的パートナーと緊密に連携し、AI導入に関する基準設定などでの協力が重要と述べた。

英国のAI分野の地位強化のため、英国政府は同日、AIを支えるチップ・半導体技術での将来的な能力の確保に向けて、「英国AIハードウエア計画」を策定すると発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同計画は6月に開催される英国最大規模のスタートアップ展示会「ロンドン・テック・ウィーク(London Tech Week)」で正式に発表される予定だ。

政府は既に高度研究発明庁(ARIA)の「スケーリング・コンピュート・プログラム(注2)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に1億ポンド(約212億円、1ポンド=約212円)、うち5,000万ポンドは同庁の「スケーリング・インファレンス・ラボ(注3)」に投資している。これにより、英国のスタートアップが自社の新しいAIハードウエアの動作を検証し、実証できるように支援している。

また加えて、英国政府は4月27日、英国内のAIスタートアップを支援するためのファンド、ソブリンAIが英国ビジネス銀行(BBB)と共同出資を行い、イネファブル・インテリジェンス(Ineffable Intelligence)を支援すると発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同社は、英国発の自己学習型AI技術の事業拡大を図っている。これまでに支援が決定したスタートアップは、同社を含めて計8社となった(2026年04月22日記事参照)。

(注1)アマゾン(Amazon)、グーグル(Google)、メタ(Meta)、マイクロソフト(Microsoft)、オラクル(Oracle)の5社を指す。

(注2)AIハードウエアのコストを1,000倍以下に削減することを目指す、新たな手段の構築を目的としたプログラム。

(注3)スタートアップや研究グループが自社の技術を実証できるオープンプラットフォームが不足しているという課題に対応するため、AIハードウエア技術の実証の場として設立された。

(バリオ純枝)

(英国)

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