英国、AIスタートアップ支援策を発表

(英国)

ロンドン発

英国政府は4月16日、2025年に公表したAI(人工知能)機会行動計画(2025年2月5日記事参照)に基づき、英国内のAIスタートアップ企業を支援するためのファンド、ソブリンAIの導入を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。5億ポンド(約1,070億円、1ポンド=約214円)を投入しAI関連の起業を支援、成長を促進するとともに雇用を創出する。

ソブリンAIは、従来の政府支援とは一線を画し、ベンチャーキャピタルファンドのような迅速な意思決定を特徴としている。野心的な取り組みを支援し、事業の障害となり得る煩雑な手続きを簡素化する。有望なAIスタートアップ企業に投資を直接行い、その急速な成長を支援するとともに、世界のトップクラスの企業と競い合うためのサポートを提供する。資金調達以外の支援策の例としては、次のとおり。

  • 英国最大のAIスーパーコンピュータへ1社当たり最大100万GPU時間のアクセス権の付与。
  • ビザ審査の優先による1営業日以内の結果の通知、および世界トップクラスのR&D人材を英国に招くための10人分の無償ビザ付与。
  • データへのアクセス、早期調達機会、独立した第三者機関による製品検証、規制に関する政府による実務的な伴走支援。

英国は世界のトップクラスの大学や研究機関、および優秀な人材を輩出しているが、世界レベルのアイデアを持つ企業が成功を収めるとすぐに海外に移転するケースが多くみられる。英国内でのAI関連企業のスケールアップとグローバルな成功を支援し、経済成長と国家安全保障に重要なAI技術の外国企業への依存を軽減するとしている。

現在、支援が決定しているスタートアップは7社。うちカロッサム(Callosum)は、多様なチップアーキテクチャを連携させ、ワークフロー、モデル、シリコンをリアルタイムで共同最適化し、パフォーマンスとコストの向上を実現するソフトウエアを構築する。プリマ・メンテ(Prima Mente)は、オックスフォード大学などとの研究連携により、アルツハイマー病やパーキンソン病などの脳疾患の治療に取り組むため、AIを活用して生物学的な基盤モデルを構築する。またオデッセイ(Odyssey)は、視覚、聴覚、言語などの機能・情報処理を用いて、人間のように学び、理解するモデルを開発する。防衛、自律システム、シミュレーションなど幅広い分野での応用が期待されている。

(野崎麻由美)

(英国)