外商投資安全審査業務メカニズム弁公室、外資によるManus(マナス)買収の投資禁止を決定
(中国、米国)
調査部中国北アジア課
2026年05月07日
中国国家発展改革委員会は4月27日、「外商投資安全審査業務メカニズム弁公室(国家発展改革委員会)の外資によるManus(マナス)買収プロジェクトに対する安全審査の決定
」を公表した。公表文によると、同弁公室は法律法規に基づき、同プロジェクトについて投資を禁止する決定をしたとし、当事者に対して当該取引の取り消しを求めた。
外商投資安全審査業務メカニズム弁公室は、2021年1月18日に施行された「外商投資安全審査弁法」(2021年1月14日記事参照)に基づき、一定の条件を満たす外商投資(注1)について安全審査を行う機関となっている。同弁法では、(1)軍事産業などやその周辺地域における全ての投資のほか、(2)国家安全に関わる重要農産品、重要インフラや重要技術などの分野における投資先企業の実質的支配権を取得する投資のうち、国家の安全に影響を及ぼす、または影響を及ぼす恐れがあるものについて、安全審査を行うと規定されている(注2)。
関連報道によると、マナスは中国人チームによって創立され、世界初とされる汎用(はんよう)AI(人工知能)エージェント「Manus」を開発・運営している。当初は中国を拠点としていたが、その後シンガポールに移転し、2025年12月には米国IT大手メタが買収を発表していた。
本買収案件について、中国商務部は1月8日、企業による対外投資、技術輸出、データ域外移転、クロスボーダーM&Aなどの活動は中国の法律法規に沿い、法定の手続きを履行した上で行われなければならないと指摘し、関連部門とともに輸出管理、技術輸出入、対外投資等の関連法律法規との適合性に関する評価・調査を実施するとしていた。
「環球時報」は4月28日、今回の決定に関する社説を発表し、メタがマナスの買収を発表した時点で同社は「シンガポール企業」となっていたが、中国側に介入する権利があるかどうかの核心は、同社の現在の登録地や運営チームの所在地にあるのではなく、その技術、人材、データと中国との関連性、および当該取引が中国の産業の安全や発展の利益を損なう可能性があるか否かにあると説明した。また、マナスの初期の研究開発は中国で行われ、コアとなるデータは中国から取得されたものであり、その人員、技術、データの移転は必然的に中国の利益と関連するため、この種の技術の輸出、域外移転、および関連する投資活動は「外商投資安全審査弁法」「輸出禁止・制限技術目録(注3)」「対外貿易法」に基づき安全審査・評価を受け、許可を得なければならず、中国が本取引に対して管轄権を行使することには、十分かつ強固な法的根拠があると論評した。
(注1)同弁法では、「外商投資」について、外国投資家が直接、または間接的に中国国内で実施する次の投資活動と定められている。
- 外国投資家が単独または他の投資家と共同で中国国内における新規プロジェクトへの投資、または企業設立をする場合。
- 外国投資家が合併買収により、中国国内企業の持ち分または資産を取得する場合。
- 外国投資家がその他の方式により、中国国内において投資する場合。
(注2)「外商投資安全審査弁法」については、ジェトロ調査レポート「外商投資安全審査弁法 概要
(457KB)」「外商投資安全審査弁法 実務上のポイント
(394KB)」「中国の経済安保に関する制度情報(2026年4月更新)
(1.5MB)」19ページも参照。
(注3)「輸出禁止・制限技術目録」については、ジェトロ調査レポート「輸出禁止・輸出制限技術目録の概要
(522KB)」「輸出禁止・輸出制限技術目録の実務上のポイント
(470KB)」「輸出禁止・輸出制限技術目録の改正
(372KB)」も参照。
(小宮昇平)
(中国、米国)
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