バングラデシュ銀行が「eローン」導入開始、国内で進むキャッシュレス化と課題
(バングラデシュ)
ダッカ発
2026年05月22日
国営のバングラデシュ銀行(中央銀行)は5月11日、「eローン」の導入開始を発表した(添付資料参照)。これにより、インターネットバンキング、モバイルアプリ、電子ウォレットを通じて最大5万タカ(約6万4,500円、1タカ=約1.29円)までの融資を受けることが可能となる。通達によれば、融資の申し込みに際した来店も不要だ。
バングラデシュでは、従前よりモバイルファイナンスサービス(MFS)やカード決済、QRコード決済の普及により、キャッシュレス化が進展している。同中銀によれば、2024年のMFSによる1日当たりの平均取引額は483億3,000万タカだった。また、モバイルコミュニケーションに係る世界的な団体GSMA(Global System for Mobile Communications Association )によると、バングラデシュは世界のモバイルマネー取引の8.61%を占め、口座数も2億3,868万件と世界全体の11.36%を占めるなど、デジタル金融分野で存在感を高めている(「ビジネス・スタンダード」紙2025年7月24日)。カード決済も急拡大しており、過去5年間でカード発行枚数は2.2倍、特にクレジットカード取引は2.6倍と高い伸びを記録している(「デーリー・ボニック・バルタ」紙2月26日)。
こうした中、同中銀が2021年に導入した、銀行・MFS・決済事業者間での相互利用が可能な統一規格「Bangla QR」の運用は大きな転機となっている。2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)時点で銀行42行、MFS事業者7社、決済事業者3社が参加し、取引件数は急増している。さらに2025年11月には、銀行口座や電子ウォレット間で即時送金を可能とする相互接続システムを導入し、12月からはQR決済の即時入金を義務化するなど制度整備も進んでいる。
一方で、課題も大きい。政策研究機関(Policy Research Institute:PRI)の調査によると、金融取引のうちデジタル比率は約35%にとどまり、約65%が現金取引だ。現金志向の強さに加え、アプリ利用への抵抗感、加盟店手数料(MDR)の負担、地方でのインフラ不足、セキュリティーへの懸念などが普及の阻害要因となっている(「デーリー・ボニック・バルタ」紙2月26日)。
過去に、バングラデシュは日本企業の大型投資も呼び込んでいる。2021年にはソフトバンク・ビジョン・ファンドII(SVFII)が、大手MFSのビー・キャッシュ(bKash)の株式を20%取得した(2021年11月24日記事参照)。また、中小事業者向け決済・会計アプリ「タリーカタ(Tallykhata)」を提供するシュア・キャッシュには、SBIホールディングスなどが出資しており、エコシステム形成に寄与している(「デーリー・スター」紙2024年5月29日)。
今後、キャッシュレス化の進展には、制度整備に加え、利用者の意識改革やインフラ強化が不可欠で、官民連携による包括的な対応が求められる。
(ショリフル・アロム、箕浦智崇)
(バングラデシュ)
ビジネス短信 489fe54a1926da8e





閉じる