第1四半期GDP成長率は前年同期比2.8%、中東情勢と予算成立遅延で減速
(フィリピン、中東)
マニラ発
2026年05月22日
フィリピン統計庁(PSA)は5月7日、2026年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比2.8%だったと発表した(添付資料表参照)。前期(2025年10~12月)の3.0%を下回り、2021年第1四半期(マイナス3.8%)以降で最低水準となった(2026年3月2日記事参照)。政府の年間目標(5.0~6.0%)も大きく下回ったほか、地元各紙のアナリストの予想中央値である3.4%に届かなかった。
需要項目別の成長率では、GDP全体の約7割を占める民間最終消費支出が、前年同期比3.0%(前年同期:5.3%)と伸び悩んだ。一方、政府最終消費支出は4.8%(18.7%)、国内総固定資本形成はマイナス3.3%(4.5%)でいずれも大幅に減少した。財・サービスの輸出は7.8%(7.1%)、輸入は6.1%(10.3%)の伸びだった。財の輸出は13.3%で、うち家電製品は89.9%、通信機器は79.3%、機械・輸送機器は59.3%、半導体を含む部品・デバイスは32.3%だった。
産業別の成長率では、農林水産業は前年同期比マイナス0.2%(前年同期:2.2%)、鉱工業はマイナス0.1%(4.6%)、サービス業は4.5%(6.2%)だった。農林水産業は、コメが6.3%に鈍化し、漁業・養殖業がマイナス5.0%、トウモロコシがマイナス5.5%だったことなどが影響した。鉱工業では、公共支出の大幅な減少により、建設業がマイナス2.8%となり、マイナス成長につながった。サービス業のうち、政府機関、防衛、保安は8.6%、商業(卸・小売り・自動車など修理業)は4.6%、金融・保険は3.4%となり、サービス業の成長を支えた。
アルセニオ・バリサカン経済企画開発(DEPDev)相は、「第1四半期のGDP成長率は、中東情勢によるエネルギー価格の高騰だけでなく、長引く洪水対策予算問題や2026年度予算の成立遅延などの影響が重なった」とコメントした。さらに、フィリピンの経済成長がベトナム、インドネシア、中国などのアジア諸国に比べて後れを取っている点にも触れ、「国内外の深刻な課題が複合的に影響した結果だ」と述べた(5月7日付「ビジネス・ワールド」紙)。また、野村證券グローバル・マーケッツ・リサーチのエコノミストは、政府の調達手続きの遅延によるプロジェクトの停滞、弱い景況感による民間投資支出の下押しにより、2026年上半期のGDP成長率は低迷が続くとの見通しを示した(5月12日付「インクワイアラー」紙)。
さらに、フィリピン農業省(DA)は、コメの生産量減少、台風被害、農家出荷価格の下落などを農業生産減少の要因としたが(5月7日付「ビジネス・ワールド」紙)、フランシスコ・ティウ・ラウレル大臣は、コメ生産について「作付け環境の正常化、籾価格の改善、政府施策により第2四半期には回復する」と楽観的な見方を示した(5月6日付「フィリピン国営通信社」)。
(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)
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