米電力大手2社が統合発表、世界有数のエネルギーインフラ企業に

(米国)

ニューヨーク発

2026年05月22日

米国電力大手のネクステラ(NextEra Energy)とドミニオン(Dominion Energy)は5月18日、全株式交換による統合に合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドミニオン株1株につきネクステラ株0.8138株が割り当てられ、統合後の持ち分はネクステラ側が約74.5%、ドミニオン側が約25.5%となる見込み。取引価値はドミニオンの発行済み株式を基準に約670億ドルと算定される(注1)。

統合後の企業は、規制収入型の電力事業(注2)を中心に世界最大規模のエネルギーインフラ企業となり、米国の電力市場構造に大きな影響を与える見通しだ。電力需要が歴史的な伸びを示す中で、運営や建設、資金調達、資材確保の効率化などを通じ、顧客への電力供給能力を強化する狙いがあるという。

両社連名で米証券取引委員会(SEC)に提出された説明資料(EX‑99.1)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、統合後の顧客基盤は約1,000万件に達し、事業の80%以上を規制収入型の電力事業が占める。統合によるスケールメリットを通じ、電力需要の増加に対しより低コストで対応できるという。2032年まで年率9%以上の1株当たり利益(EPS)の成長を見込むなど、長期的な収益拡大も強調されている。また、ドミニオンの顧客向けには、統合後2年間で総額22億5,000万ドルの電気料金控除(bill credits)を提供する計画が示され、顧客負担軽減につながるとしている。

今回の統合の背景には、人工知能(AI)・データセンター需要の急拡大がある。特にドミニオンが管轄するバージニア州北部は世界最大級のデータセンター集積地であり、電力需要は過去に例のないペースで増加している(2026年4月15日記事参照)。ネクステラはフロリダ州を中心に大規模な再生可能エネルギー、蓄電、天然ガス火力、原子力の各設備を展開しており、両社の統合はデータセンター向けの電源確保を強化する効果が期待される。

また統合を通じ、ネクステラ、ドミニオンはともに信用格付け基準を改善できる見通しで、これにより「資金調達コストが低下し、顧客料金の抑制につながる」利点もある。

組織体制については、フロリダ州とバージニア州の2拠点体制で本社機能を維持しつつ、事業運営の中核となる運営本部をサウスカロライナ州に置く方針が示された。従業員保護や地域社会への寄付拡大も明記するなど、地域経済への影響にも配慮した。

なお、統合の実現には今後、複数の規制当局の承認を必要とし、連邦エネルギー規制委員会(FERC)、州公益事業委員会(PUC)、司法省(DOJ)などの審査を経る必要がある。公益事業同士の大規模統合であるため、競争環境や料金設定への影響が審査の焦点となり、完了まで最大18カ月を要する可能性もあるという(「WLRN Public Media」5月19日付)。

(注1)取引価値は、発表されたドミニオン株主が受け取る交換比率(0.8138株)と発表前営業日のネクステラ株価を基に算定。当地主要メディア(ブルームバーグ、ロイター、CNBCなど)も総額約670億ドルと報じている。

(注2)州の公益事業委員会(PUC)が電気料金や投資回収率(ROE)を規制する代わりに、設備投資の回収と一定の収益が保証される民間電力事業。

(伊藤博敏)

(米国)

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