系統電力向け民間発電事業の第2回優先事業枠を公募

(メキシコ)

調査部米州課

2026年05月14日

メキシコのエネルギー省(SENER)は5月11日、電力部門開発計画に基づく「第2回発電許可および電力系統接続に関する優先事業枠公募」を官報公示した。本制度は、国家主導の電力計画に整合する案件の優先選定と手続きの迅速化を狙いとする(公示文書の「1.目的・範囲」および「2.法的根拠」)。第1回公募は2025年10月に公示され、同年12月下旬に優先枠が付与されていた(2026年1月26日地域・分析レポート参照)。国家電力系統(SEN)への接続を前提とする0.7メガワット(MW)以上の発電が対象となり、プロジェクトの主な要件は次のとおり。

  • 電力系統の信頼性・効率性・持続性への貢献(1.2.1)
  • 政府の電力部門開発計画への適合(1.1、1.2.1)
  • 再生可能エネルギーによる発電(1.2.1)
  • 発電容量の30%以上、かつ3時間以上の蓄電設備の併設〔1.2.1(ii)(iv)、14.4〕
  • 商業運転開始は2027年~2030年前半〔1.2.1(ii)(v)〕

なお、分散型発電(注1)、自家発電(注2)、コージェネレーション、既存許可案件などは対象外(1.2.2)。

今回も前回同様、非常に短い期間で実施される。主要なスケジュールは次のとおり。

  • 5月11日:公示
  • 5月13~22日:関心表明・連系調査申請
  • 5月29日~6月8日:連系調査費用確定・支払い
  • 6月9日~7月8日:発電許可申請提出
  • 7月9~17日:審査・補正対応
  • 7月20~28日:連系・系統増強費用提示および受諾
  • 8月13~14日:国家エネルギー委員会(CNE)による最終審査
  • 8月17日:結果公表
  • 8月18日:許可通知

申請と審査は、「エネルギー戦略案件ワンストップ窓口(VUPE)」で一元管理される(4.エネルギー戦略案件ワンストップ窓口)。 申請者は、関心表明、系統接続調査申請、進捗報告など全手続きをVUPEおよびCNEの電子窓口(OPE)をオンラインで提出する必要があり、関係機関の情報連携も強化される。これにより、透明性・トレーサビリティの向上が図られている。

申請者は、公示文書が定める要件(注3)を満たす必要がある。この中では特に、国家電力管理センター(CENACE)が算定する接続・増強費用を受諾することが継続審査の条件となるため、注意が必要だ(6.2)。

案件は次の観点から評価される(8.発電プロジェクト申請に関連する案件の評価)。

  • 法的・技術要件の充足
  • 電力部門計画への適合性
  • 電力系統への貢献度、投資・環境効果
  • 技術分析グループによる専門評価

最終的にCNE技術委員会が許可の可否を決定するが、許可取得後も事業者には厳格な義務(注4)が課される。なお、発電許可に記載された条件や期限が未達の場合、許可取り消しや制裁の可能性があるため、注意が必要だ(12.2)。

国家計画への依存による市場制約への懸念も

今回の公募に対する専門家の評価としては、VUPEを通じた許認可の迅速化や透明化、蓄電インフラ推進による電力系統安定などポジティブな評価もあるが、発電許可の選定が政府計画に依存し、市場原理による最適投資が妨げられる可能性や規制不確実性、政治的判断の影響を懸念する声もある。

(注1)分散型発電(Generación Distribuida)とは、主に太陽光パネルなどを家屋や工場の屋根などに設置する自家発電事業を指し、特別な許可は不要。CFEとの間で電力売買契約を締結し、専用の双方向メーターを設置する。

(注2)自家発電(Autoconsumo)とは、自社施設内、すなわち私用電力網の中で消費することを前提に発電する0.7MW以上の発電事業であり、発電許認可が必要だが、20MWまでは簡素な手続きで許可が下りるとされている。

(注3)「6.第2回公募に基づく発電許可を取得するための要件および条件」に次の要件・条件が設定されている。

  • 関心表明(ひな型あり)の提出
  • CENACEへの系統接続調査申請と費用支払い
  • CNEへの正式な発電許可申請
  • 技術・環境・社会面の許認可手続きの進捗証明
  • 系統接続・増強工事の受け入れと費用負担の同意

(注4)主に次の義務が課される。

  • 資金調達証明提出(8カ月以内)
  • 環境・社会許可取得(6カ月以内)
  • 保証金提出および連系契約締結
  • 建設・商業運転までの進捗管理

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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