米スタートアップのサイクオンタム、商務省と1億ドル支援の意向書に署名
(米国)
シカゴ発
2026年05月29日
米国のスタートアップのサイクオンタム(PsiQuantum、本社:カリフォルニア州)は5月21日、米国商務省と、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく最大1億ドルの連邦支援(2026年5月22日記事参照)に関する意向書に署名したと発表
した。本支援は、量子コンピューティングおよび半導体製造における米国のリーダーシップ強化を目的とする。同社による投資と併せ、本支援は国内生産能力の加速および重要な量子・半導体部品の性能向上に寄与すると見込まれている。支援対象は、量子コンピューティングのスケール化に不可欠な次の戦略技術分野となっている。
- チタン酸バリウム(BTO):フォトニックコンピューティングの効率向上に向けた高性能光スイッチの開発
- 高温動作単一光子検出器:高温動作による冷却系の簡素化と高密度実装を可能とする検出技術
- 先端パッケージング技術:実用規模量子コンピューティングに向けた部品製造・統合技術
これらの技術分野は、シリコンフォトニクスおよび既存の半導体製造基盤を活用し、誤り耐性能力を備えた実用規模の量子コンピュータを構築する同社の技術戦略の中核をなす。
商務省は、今回のような投資により、国内半導体能力の強化、次世代コンピューティング産業の育成、高付加価値雇用の創出、技術基盤の強靱(きょうじん)性の向上が期待されるとしている。こうした動きは、量子技術開発を先端製造分野の再活性化や人材基盤拡大と結び付ける政策の一環と位置付けられる。
今回の発表は、連邦および州レベルでの量子技術重視の動きを裏付けるものとなった。特にイリノイ州では量子コンピューティング拠点の整備が進められ、シカゴ南部に「イリノイ量子マイクロエレクトロニクスパーク(IQMP)」を建設し、サイクオンタムが主要入居企業となっている(2025年10月6日記事参照)。同州政府は、量子コンピューティングを最重要戦略分野の1つに位置付けており、長期的な公的支援や継続的なインセンティブの提供を示唆している。
このように、米国では連邦支援、民間投資、IQMPなどの地域プロジェクトの相乗効果により、次世代コンピューティング分野の競争力強化と半導体基盤の強化が図られている。
(ケリー・ハイランド、坂井愛子)
(米国)
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