カナダ政府が「春季経済見通し」を公表、「カナダ・ストロング」戦略の施策を補強
(カナダ)
トロント発
2026年05月08日
カナダ財務省は4月28日、財政支出計画や経済見通しを示した「春季経済見通し(Spring Economic Update)」を公表
した。
本文は2025年度(2025年4月~2026年3月)予算で打ち出した「カナダ・ストロング」戦略の進捗確認と施策を整理・補強した内容で、経済概況に続く2部構成となっている。第1章「カナダを築く(Building Canada)」では単一の貿易相手国からの依存脱却と、経済の自立性と強靱(きょうじん)性を高める方針が示され、第2章「国民の利益(Putting Canadians First)」では生活費削減と人材投資を通じた国民支援などの措置が発表された。
経済見通しとして、実質GDP成長率は2025年の1.7%から、2026年の1.1%への鈍化を経て、2027年には1.9%へ回復すると予測した(添付資料表1参照)。2025年度の財政赤字は669億カナダ・ドル(約7兆6,624億円、Cドル=約114.5円)と見込まれ、財政支出は2025年度予算案比で115億Cドル改善するとされた(添付資料表2参照)。盛り込まれた措置の純費用は6年間で375億Cドルとなり、うち約45%が、カナダ食料品・生活必需品給付金(Canada Groceries and Essentials Benefit、CGEB)、住宅供給促進策(ビルド・カナダ・ホームズ、2026年3月2日付地域・分析レポート参照)、連邦燃料物品税(Fuel Excise Tax)の一時停止といった生活費関連分野に配分されるとしている。
今回の発表で新たに示された主な政策は次のとおり。
- カナダ・ストロング基金(Canada Strong Fund):カナダ初となる連邦政府としてのファンド(注)を新設し、重要インフラや先端製造業、エネルギー、鉱業などの戦略的産業に投資する。3年間で約250億Cドルを拠出し、投資リターンを国民が直接享受する仕組みが特徴。
- チーム・カナダ・ストロング(Team Canada Strong):2030~2031年までに、住宅やインフラ、資源開発、防衛分野などで8万~10万人の技能職労働者を育成・雇用する包括的施策。カナダ建設見習い制度(Build Canada Apprenticeship Service)を含み、5年間で最大60億Cドルを有給の入門雇用、見習いや企業への支援、軍における技能訓練の強化に充てる。
- カナダ年金制度(Canada Pension Plan:CPP):保険料負担を軽減する法改正が検討されており、基本拠出率を9.9%から9.5%へ引き下げ、2027年1月から適用される。年間30億Cドルの拠出減は、カナダ年金投資委員会(CPP Investment Board:CPPIB)の運用資産で対応し、制度の持続可能性が維持される。
(注)政府系ファンド(Sovereign Wealth Fund: SWF)は、政府が保有・運用する投資機関のことで、主に国家の資金を国内外の資産に投資し、長期的な財政安定や経済成長を目的とする。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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